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台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

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北投温泉博物館の畳ホール(直訳)

北投温泉博物館の畳ホール(直訳)

 7月の夏休みに入り、過去2年中止してきた夏祭りが開催されるようになりました。今回紹介する北投納涼祭もその一つですが、温泉街で日本統治時代の名残を残している新北投の魅力を感じられるような夏祭りでした。

 北投納涼祭の主要会場は、北投温泉博物館と旧新北投駅駅舎。どちらも日本統治時代の名残を残した建物が、日本人の郷愁を誘うたたずまいを醸し出しているのが特徴ですが、納涼祭はこのたたずまいを可能な限り崩さず、今の時代に合ったものになっていました。

 まず、上の写真の北投温泉博物館は、日本統治時代に公衆浴場として建てられたところで、畳ホール(公衆浴場なら湯上り後に一休みする休憩場でしょうか)をはじめ、当時の公衆浴場の施設がそのまま残った状態で温泉街・新北投の歴史を紹介しているところです。

 畳ホールでは、ビンゴゲームや上の写真のようなスイカのビーチボールを使った擬似スイカ割りゲームなどが楽しめる企画を実施していました。


お湯をかき回す要領で玉を湯桶に入れるゲーム

お湯をかき回す要領で玉を湯桶に入れるゲーム

 上の写真は畳ホール下にある大浴場の浴槽に設けられたゲームで、納涼祭開催時には博物館内に8カ所(旧新北投駅舎は3ヶ所)設けられていました。こちらは、1枚100元(約453円)で3回使える納涼券があれば楽しむことができました。

 また、ゲームの後は結果に応じてポイントが得られるようになっていて、ポイントを貯めるとそれに応じて景品がもらえる仕組みになっていました。

 北投納涼祭は7月16~31日に開催されましたが、期間中、納涼券と貯めたポイントは有効なので、その期間中何度も通った地元の子供たちもいたようです。夏休みにふらふら繁華街を出歩くよりは、こうした施設で時間を潰すだけでなく、歴史に触れ、日本の夏休みの宿題の定番・自由研究(台湾でこれがあるかどうか不明ですが)のネタを見つけてくれれば、保護者もありがたったのではないかと勝手に思っています。


旧新北投駅駅舎

旧新北投駅駅舎

 北投納涼祭のもう一つの主要会場である旧新北投駅駅舎。
 上の写真の奥に大きい鳥居のようなものが見えますが、そちらが現在の台北MRT新北投駅です。

 旧新北投駅駅舎は、1997年のMRT淡水線開通に合わせ、解体され台湾中部の彰化に移されていましたが、周辺住民が移転建設費用を募り、2017年4月に上の写真の駅舎が隣接する七星公園に建てられました。駅舎の中は、さすがに「105年前のまま」というわけでなく、現代化されていますが、日本人にとって懐かしさが残るところになっています。

 この駅舎前には開催期間中の土日限定で屋台街が設けられましたが、飲食関係は少数。多くは手工芸品を扱う個人事業主の人たちでした。


後方は再現された駅のホーム

後方は再現された駅のホーム

 再現されているのは、駅舎だけでなく、当時の駅のホームも再現されています。その周辺にも屋台街が設けられましたが、30℃以上になった昼の時間帯は人が少なく、陽が沈み、気温が下がるに連れて人が増えていきました。しかし、開催時間が14~20時ということもあってか、終了間際だと売り切れで売るものがなくなるところも出てきていました。


夏祭りといえば…

夏祭りといえば…

 上の写真は、北投温泉博物館の庭に設けられた屋台街にあったビールを販売しているところです。

 この売り場を見て、浴衣姿でビール片手に温泉街の夏祭りを楽しむ日本人を想像してしまい、三歩進んで二歩下がるような日々を送り、元に戻らない現状に思わずため息の北投納涼祭でした。 


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