スイスのアボンディオ教会とヘルマン・ヘッセ
2023.10.06 up
スイス・ティチーノ州にあるアボンディオ教会
夏休みをスイスのイタリア語圏ティチーノ州で数日過ごした時、ホテルの近くにあったアボンディオ教会(Chiesa di S. Abbondio)にぶらっと立ち寄ってみました。
イタリアのトスカーナ地方にある風景のような、糸杉の並木道と教会は遠くからでもよく目立ちます。そこで近くまで歩いて行ってみました。
鐘楼の鐘がちょうどゴーン、と一回鳴っているのを聞きながら、周りを探索。3人組の若い男女の観光客らしき人と我々以外は誰もいませんでした。
アボンディオ教会に続く、糸杉の並木道
このアボンディオ教会から道路を挟んだ反対側に墓地もあり、ここにはドイツ生まれの詩人・小説家ヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse)のお墓があります。
ヘッセと言えば『車輪の下』『デミアン』などの作品が有名で、1946年にはノーベル文学賞も受賞した人。ドイツやスイスではあまり知られていませんが、日本では中学国語の教科書に教材として長年掲載されている『少年の日の思い出』という短編が一番よく知られているかもしれませんね。
アボンディオ教会の鐘
さらに、ヘッセはドイツ生まれですが、人生の半分以上をスイスで過ごしています。最初にスイスへ来たのは宣教師だった父親の仕事関係でバーゼルへ。まだ小さかったヘルマン少年は4年間家族と共に過ごします。
その次に来たのがベルン。1912年から1919年まで暮らしていました。この時は第一次世界大戦の時期だったこともあり、徴兵を恐れたりうつ病になって苦しんだりと、辛いことも色々とあったようです。
そしてベルンからそのままスイス・イタリア語圏のモンタニョーラへ引っ越し、1962年に他界するまでここで暮らしていました。85年の人生のうち54年間はスイス在住ということになります。
ヘルマン・ヘッセの作品たち
そのため後にスイス国籍を取得しているのですが、日本では「ドイツの詩人・小説家」と紹介されることも多いため、ヘッセがスイスに長く住まっていたことは、スイスに移住して初めて知りました。
本当はお墓参りもしたかったのですが、その時大勢の人たちが何かの行事で集まっていたので、墓地へ行くのは控えましたが、またいつか機会があれば訪れたいと思います。
ちなみにこの墓地には、ドイツ出身の指揮者でピアニストのブルーノ・ヴァルター(ブルーノ・ワルターとも)、そして1910年半ばに起こった芸術運動ダダイスト発起人、ドイツ出身フーゴ・バルもヘッセと同じ墓地に眠っているそうです。
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