台湾総統選挙、國民党の様子
2024.02.28 up
國民党の集会会場の周辺の様子
日本から多くのの報道陣、視察目的の渡航者が多くいたことで話題になった1月13日の台湾総統選挙。結果など詳細はご存知の方も多いと思いますが、頼清徳副総統が558万5687票を集め、当選しました。
こちらでは、13日の夕刻から22時ごろまで見てきた範囲で、國民党と民進党の集会の様子を紹介します。
まずは、國民党からです。
会場は以前使われた台北市内の党本部前ではなく、新北市板橋區の板橋體育場前の運動廣場でした。候友冝氏が新北市の現職の市長で、市政府庁舎がある板橋區から離れられない、という事情からの会場と拠点の設定だと見られますが、4年前と同様に台北市内を使わない、というのは党勢が落ちたような気がして、なんだか寂しい気持ちになりました。
キッチンカーや屋台が軒を連ね、盛り上がっているように見える一方で、集まっている人は少なく、結果が一目でわかるような感じになっていました。
マイクを持ち、あいさつを行う新北市の候友冝市長
しばらく経ってから、候補者の候友冝氏をはじめ、國民党の幹部、選挙対策本部の運営部門の人たちが壇上に立ち、あいさつを行いました。
候友冝氏は、およそ10分ほど会場にいた支持者たちに感謝の言葉を述べました。
壇上にいる人々が頭を下げました
あいさつの途中、候友冝氏は何度も頭を下げ、言葉の中にはわずかですが台湾語を交えたものもあり、多方面に配慮しているのが伝わってきました。昨年9月中旬から新北市の市長職を休職して選挙に臨んできただけでなく、敗軍の将としても責を負ったような感じにも見え、痛々しく見えました。
台北市の蒋萬安市長(右から3人目)と抱擁を交わす候友冝氏
会場を後にする前、途中から壇上に来た台北市の蒋萬安市長とも抱擁を交わしましたが、気になることもありました。
台湾の各自治体の首長の中で、「台北市長」は総統の近道とも言えるくらいの地位にあり、過去の選挙では故李登輝氏、陳水扁氏、馬英九氏を輩出してきました。歴代最年少で台北市長に就任した蒋萬安市長には、過去の台北市長から総統就任へつなげていった先人たち同様の期待がかかっていますが、その方がどうして遅れて登場するのが気になってしまいました。市長としての公務があって遅れたのかもしれませんが、私服(に見える)のパーカーとジーンズ姿で現れたのを見ると、「自分が台北市長で、(今回の)総統選挙も立法委員選挙も関係ない立場にある」のを強調しているように見えました。
未来の総統候補とも言えるお方が、総統選挙の候補者として落選の責を負い、新北市長としても集まった支持者に頭を何度も下げ、あいさつする候友冝氏の姿をどうして最初から最後まで目に焼き付けておかなかったのか、本当に気になってしまいました。そうした姿勢から何かを学び、掴むきっかけになり、やがて未来につながり、花開くものだと思っているのですが、この辺りは「台湾」だから、「國民党」だから仕方がないのでしょうか。
何度も頭を下げた候友冝氏(最前列右から5人目)
蒋萬安市長を見ていると、「肝心なところがすっぽり抜け落ちているのでは?」と思えるところがスポーツや文化活動の現場で何度もあったので、非常に気になっています。4年後の総統選挙に立候補するかどうかはわかりませんが、台北市長に再選され、任期を最長の8年全うした後の8年後の総統選挙にはほぼ間違いなく立候補すると見られます。
蒋萬安市長が今後どうなるかは予想がつきませんが、現在のこのような姿勢が未来の発展に影響が及ぶのか、また國民党が蒋萬安市長をどのように育成していくかも注目点になるかもしれません。
次回は、頼清徳副総統が党首を務める民進党の様子です。
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