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議会の混乱に再び動いた市民の行動
2024.07.29 up
抗議活動で運行停止になったバス停
過去にも触れましたが、1月に行われた総統選挙と立法委員(国会議員に相当)選挙で4年の議会の動向が確定しました。総統選挙は、頼清徳副総統(当時)が当選し、民進党が蔡英文前総統に続き、総統と副総統を維持しましたが、立法委員選挙では、民進党は51議席に留まり、単独過半数を維持できなくなりました。一方の國民党も52議席を獲得し、立法院院長と副院長(議長と副議長に相当)を送り出したものの、単独過半数に届かず、8議席を獲得した台湾民衆党(以下、民衆党)次第で重要法案が通るか通らないかが左右されることになりました。
【参考】
http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=2024217142839
その不安が、頼清徳新総統の就任前後の5月に、早速現れました。
議会に関する改正法案で、國民党と民衆党が手を組み、強行採決に踏み切ろうとしたのを受け、市民団体が立法院(国会に相当)近くに集まり、抗議集会を開く展開になりました。
集会の様子
私が行ったときは、不安定な天候でも多くの人が集まり、民主主義の意義を仮設の壇上に立った専門家たちが力説していました。その中には、過去に紹介した政治家たちも応援に駆けつけているところを見かけました。
10年前に学生たちが動いた「ひまわり学生運動(太陽花學生運動)」の再現のような光景で、今回は「青い鳥行動(青鳥行動)」と呼ばれています。
メッセージ入りのひも
立法院周辺は、怒った民衆が花を投げ入れたり、怒りのメッセージが書かれた紐をくくるなどで強行採決への抗議を示しました。
その中にある名前で、馬英九元総統、民衆党党首の柯文哲前台北市長は知っている方も多いと思いますが、「黄國昌」という名前は知らない人も多いのではないでしょうか。「黄國昌」は、10年前のひまわり学生運動時に、学生側につき運動を支え、政党「時代力量」旗揚げ時は初代党主席に就任し、2016年の立法委員選挙では選挙区で当選を果たした「新しい流れ」の象徴的存在でした。その後、時代力量を離れ、今年の立法委員選挙で民衆党の比例名簿2位に入り、無党派層や既成政党に不信感を持つ人たち、特に若い世代の票を集め、再度当選しました。当選後は、自身の存在を際立たせる手法をとり、10年前とは正反対の態度で國民党側についたことで、「裏切り者」という印象がついた格好になりました。
黄國昌立法委員の名前は、今後台湾の立法院関連の報道が出た時に、注意して見ていただきたいと思います。
5月下旬の討論会の様子
立法院周辺の活動以外にも、民主主義の意義を考える機会が多く設けられています。新北市議会議員の顔蔚慈議員(上の写真で左側)は、同じ民進党所属の新北市議会議員や台北市議会議員らをゲストに招き、討論会を自身の選挙区にある喫茶店で開催し、今回の「青い鳥行動」に関することだけでなく、選挙区にあたる三重區と蘆洲區で起きている問題についても話し合い、意見を共有しました。
6月に新北市板橋區で行われた街頭演説
「青い鳥行動」の流れは6月以降も続き、民進党は台湾各地で街頭演説を行い、その場で民主主義の重要性を市民に説いています。6月に新北市板橋區で行った際には、途中で通行人が罵声を浴びせ、集まった人と怒鳴りあう一幕もありました。
1996年に行われた総統の直接選挙以降、自分たちの民主主義の形をずっと模索してきている感がある今の台湾。蔡英文前総統は、社会の分断を招かないよう最大限注意を払っている様子(例:選挙活動中、相手陣営と候補者を一方的に罵らない)でしたが、それに反発して短絡的にヘイトや対立感情をあおることで自分の存在を際立たせてきた人たちも、この社会に少なからずいるのを感じさせる光景でした。
街頭演説も抗議活動もできる自由がある今の社会を、しっかり維持できるかどうか。
今後の行方が気になります。
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