多民族国家・南アフリカの国歌
2009.11.27 up
南アフリカの国旗は、赤:過去の対立の中で流された血、青:空と二つの海、緑:自然 黄:南アフリカで産出される金に代表される天然資源、黒:南アフリカの黒人の国民、と同時に他のアフリカ諸国とのつながり、白:南アフリカの白人の国民、と同時に平和を表現していると言われています
先日、サッカー日本代表と南アフリカ代表の親善試合が、ポートエリザベス(PE)で行われました。当初、ヨハネスブルグで行われるとのことで応援に行く予定でしたが、残念なことにPEに変更となってしまったので、当日はTV観戦をしました。会場には日本人が100人ほど来ていたようです。試合前の国歌斉唱で君が代が流れ、日本を思い出しました。
それにちなんで、今日は南アの国歌についてです。南アの国歌には、5つの言語が使われています。
(参考HP:http://www.syrupy-void.com/usaf/safrica.htm)
他民族国家である南アには、11もの公用語があります。
1994年まで続いた人種差別政策であるアパルトヘイト(アフリカーンス語で隔離・分離の意味)の時代、白人は白人の言語での国歌、黒人は黒人の言語での国歌というように、人種ごとの国歌が存在していました。アパルトヘイトの撤廃後、ネルソン・マンデラ大統領により民族和解・協調政策の一環として、従来の白人と黒人の国家を組み合わせた現在の国歌が制定されました。
私はこの話を聞いた時、平和の願いが込められた、素敵な国歌であると感じました。
しかし、国歌に込められた願いのような、民族の和解にたどりつくには、現実には険しい道のりを感じます。
例えば、ラグビーの試合です。南アはラグビーの強豪として有名ですが、ラグビーは白人のスポーツとして発展してきました。そのため、サポーターもほとんどが白人です。試合前に国歌斉唱がありますが、よく耳をすませると、南ア国歌のアフリカーンスと英語のパート以外の部分は、かすかに歌声が聞こえる程度です。逆に、黒人のスポーツであるサッカーでは、コーサ語、ズールー語、ソト語の部分だけが強調して歌われています。
アパルトヘイト廃止から15年が経過しました。表向きには白人と黒人が融合した社会のように見えますが、実際にはいまだに両者間には溝があるのが現実です。何百年と続いていた人種差別を10年、20年で平等な社会に戻すことは、とても難しいことです。
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