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中国:上海

イエン ヨウコ

職業…書き描き屋

居住都市…上海市(中国)

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一族ではなく、1人或いは2人用のお墓です

一族ではなく、1人或いは2人用のお墓です

毎年4月5日前後は「清明節」。
「清明」は二十四節気の一つで、立春から数えて2つめの節にあたります。この日はご先祖さまに感謝し、「掃墓(お墓の掃除)」をすることから「掃墓節」という言い方をする地域もあるようです。今年は4月4日を「清明節」と定め、2日から4日までが清明節休暇となりました。その前の3月31日、4月1日は振替出勤で休日ではありませんでしたが、中にはこの日に休みをとって早めにお墓参りを済ませようという人も少なくなく、3月30日の夕方から人民大移動が始まりました。


上海・浦東にある霊園。ピーク時間を過ぎてもお参りする人は絶えません。

上海・浦東にある霊園。ピーク時間を過ぎてもお参りする人は絶えません。

私の義母の墓は、同じ上海にあり、車で小一時間ほど走ったところにありますが、この清明節の日は、出発する時間をまちがえると、途中でとんでもない交通渋滞で身動きがとれなくなるため、今年は午後1時頃に着くようにとお昼に家を出ました。
道はすいていて、予定通りに霊園に着くと、こちらは駐車場へ向かう車の列が絶えず、大型バスもまだやって来ます。ピーク時間を外そうと思って来たのは私たちだけではなかったというところでしょうか。


爆竹は鳴らさないようにしてね

爆竹は鳴らさないようにしてね

霊園の入口では、お年寄りのための車椅子の無料貸し出しの他、万一に備えて消防車が待機しています。これは、爆竹や花火で邪気を払ったり、ご先祖さまのために紙のお金を燃やして届けようとする習慣があるためですが、この霊園では園内での爆竹、花火の使用を禁止しており、「爆竹はお花に換えて供えよう」というキャンペーンも行っています。それでもやっぱり訪れる人たちは紙のお金を燃やす習慣をなかなかやめられないようで、あちこちでバケツやドラム缶から炎があがっていました。


訪れる人々の手にあるビニール袋にはいっぱいの紙のお金が

訪れる人々の手にあるビニール袋にはいっぱいの紙のお金が

私は家族と共に年数回ここを訪れるため、持って来るものもお花と果物程度、墓前ではみんなで順番に声をかけて帰りますが、その人の出身地や訪れる頻度によって皆お供えする物もお参りの方法もさまざまです。また、この日に納骨をする遺族も少なくなく、音楽を鳴らしながら「骨灰盒(骨箱)」を手に、白い装束に身を包んだ親族を従えてお墓へと向かって行く姿に多数遭遇しました。


ここは1.5〜2平方メートルサイズのお墓が並んでいます

ここは1.5〜2平方メートルサイズのお墓が並んでいます

上海のお墓は、一族が一緒に祀られているのではなく、多くは「単穴(一穴)」もしくは「双穴(二穴)」で、一人もしくは夫婦(或いは親子)で一つのお墓に眠るものがほとんどです。生前に墓を購入するにはさまざまな条件があり、配偶者が亡くなった時点で夫婦の墓を買うのが一般的です。義母の墓も二穴で、墓石にはすでに義父の名前も刻まれています。すでに墓に眠る義母の名前の上にはセラミックで作られた写真が飾られており、義父の名前の上には「寿」の文字が飾られています。刻んだ名前に色をつけることで区別する場合もあります。
不動産価格が異常に高騰し、当たり前に自分の城を持つことが難しい上海では、この墓地の価格も高騰し続けており、私たちが両親のために購入した墓と同じタイプのものも3年足らずで2倍にも跳ね上がっていました。
また、墓地用地の不足も深刻で、この霊園では用地の節約利用と環境にやさしいお墓ということで緑地への集団埋葬も行っています。

お金の悩みが尽きないこの土地に暮らす人々の、どんな便利な時代になっても紙のお金をたくさん燃やしてご先祖様に届けたくなる気持ち、わからなくもないような気がしました。



*2012年3月20日に行われた集団埋葬の様子(上海市民政局)     http://www.shmzj.gov.cn/gb/shmzj/node4/node12/node1561/u1ai31923.html


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