マリアローザ(ピンクのシャツ)とマリアネーラ(黒のシャツ)
2012.06.07 up
ジーロディタリアのロゴ
イタリア人は自転車レースが好きな国民で、世界的な有名なツールドフランス(フランス)が“世界最大のロードレース”ならば、ジーロディタリア(イタリア)は“世界最高のレース”と言われるほどです。ジーロはイタリア語で一周すると言う意味もあり、その通りイタリア中を約3週間かけて走るロードレース。アルプス山脈やアペニン山脈の上り下りをする過酷なステージ、数千年前の遺跡の中を走るステージ、海岸沿いを走る眺めの良いステージ、いろいろあります。コースは毎年変わるため、スタートとゴールも変わります。
今年のジーロは21ステージで、グランファイナルは数年ぶりにミラノと言うことで、今日早速ゴールとなるドゥオモ広場に行ってきました。
ドゥオモ広場もピンクで一杯
総合優勝者に与えられるシャツの名はマリアローザで、初年度の1909年からずっとメインスポンサーである、ナンバーワン・スポーツ紙であるガッゼッタ・デッロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)がピンク色の紙を使っているからだそうです。
ファンが押しかけるゴール
面白いことに1946年から5年間だけ、マリアネーラ(黒のシャツ)賞がありました。これは最下位の人に与えられたシャツで、どう間違えてもマリアローザを取れない人があの手この手を使って必死に手にしようとしました。レース中にレストランに入って悠々と食事をとり時間稼ぎをする選手、田舎のステージだと乾草の中に自転車もろとももぐりこんで隠れて時間稼ぎをする選手、
大切なことは同じく最下位を狙う選手に見られないこと、そして制限時間内ギリギリにゴールすることでした。イタリア国民はマリアネーラのドタバタ喜劇を心から楽しんでいたようですが、『最下位選手の見世物のようでモラル的に宜しくない』と言う抗議の声が上がり、あっという間に廃止にされてしまいました。シャツは無くなっても、今でも「マリアネーラ」はイタリア語で「最下位」の代名詞として日常的に使われています。何事もポジティブなイタリアらしい話です。
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