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中国:上海

イエン ヨウコ

職業…書き描き屋

居住都市…上海市(中国)

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福の神をお迎えする法会が行われています

福の神をお迎えする法会が行われています

新年好!明けましておめでとうございます。
新しい年、2013年が始まりました。

中国では新暦(グレゴリオ暦)の1月1日を「元旦(ユエンダン)」と呼びます。
この日は祝日として休みになるものの、日本のように新年を迎える、といった感覚はほとんどありません。
近年、各地のテレビ局ではこの前日にあたる新暦の大晦日・12月31日に
有名な歌手を呼んでの特別歌番組を組むところが増えましたが、
子どもたちにとっては大事な期末試験の直前であり、
年中行事の大半を旧暦で過ごすこの地の人たちにとって、ハレの日という感覚は未だに薄いようです。

では彼らはいつ「新年を迎える」のでしょう。

それは、日本でいうところの旧正月、「春節(チュンジエ)」です。
今年は2月10日にその日を迎えました。
そもそも「元旦」は一年で最初に日が昇る日を、
「春節」は一年の始まりの日を意味します。
つまりはどちらも1月1日のことなのですが、中華人民共和国では新暦を採用していることから
新暦の1月1日を「元旦」、旧暦の1月1日(正月初一)を「春節」と呼んで区別しています。

その「春節」の話は、機会があればいつかお話しすることとして、
今回は、その日から5日目の「正月初五」のお話を少しご紹介します。

新年を迎えるにあたって、一般に私たちは「春節」という言葉を使うことは少なく、
「過年(グオニィエン)」という言い方をします。この「過年」は、「正月初一」のことではなく、
年末年始の特定の期間のことを示しています。
その「過年」の期間の最後にあたるのが「正月初五」であり、
「破五(ポー・ウー)」とも言います。「過年」の期間中のもろもろのルールを
この日に破ってもよい(=終了)からだと言われています。

上海ではその「正月初五」を「迎財神(イン・ツァイシェン)」の日として、
お供え物をし、爆竹を鳴らします。
「財神」とは福の神のこと。新年の爆竹は、鬼や邪気を祓うためのものですが、ここで爆竹を鳴らすのは、
その福の神を「ここへ降りてきてください」と自分のところへ呼び込むためなのです。
「正月初四」の夜から「正月初五」にかけて、家々でその行事が行われるだけでなく、
財神が祀られている道観でも「迎財神」の法会が行われます。

上海市浦東新区にある上海太清宮(欽賜仰殿)は歴史ある道観の一つであり、
今年も福の神を呼ぶための法会が2月13日の夜から14日にかけて行われました。


春節の参拝チケット。右が春節当日用、左が「迎財神」用のチケット。切り離して使用

春節の参拝チケット。右が春節当日用、左が「迎財神」用のチケット。切り離して使用

13日の21時から参拝が可能ですが、法会に参加できるのは、
事前に登録申込をした人たちのみ。
彼らは財神がまつられている財神殿へ順番にお参りに行きます。
中ではありがたいお話を聴き、祈りを捧げます。終わると財神のポスターが配られていました。
法会の最中は、一般参拝客は財神殿の中へ入ることができませんが、
外でもお祈りできるように専用の台が設けられており、熱心な人々はそこで祈りを捧げています。
(台というのは、背もたれの無い椅子のようなもので、そこにひざまずき、祈ります)
日付が変わる少し前あたりに法会は終わり、一般の参拝客も財神殿に入ることができるようになります。


「迎財神」用のお香セット 60元(約900円)

「迎財神」用のお香セット 60元(約900円)

ところで、普段この道観を訪れると、参拝券にはお香がセットされています。
しかし、年に数回ある特別な時には、チケットの価格も異なり、お香は別売りになります。
写真のお香は、この「迎財神」の日専用のお香のセットです。
太くて長いものは持つところがあるので良いのですが、赤い四角い包みの物は、
紙をはがすとたくさんの細い線香(といっても日本の線香より太いです)が束になっていて、
燃えて来るとどんどん火が大きくなって熱くなってくるので、とてもこわいのです。


思い思いに祈りを捧げます 火がこわいです

思い思いに祈りを捧げます 火がこわいです

さらに、このお香を自分の目の位置より上にかざしながら、順番に四方へ祈りを捧げていきます。
一方向につき3回おじぎをしますが、その際にこのお香も一緒に「おじぎ」をしますから、
そばにいると火が燃え移りそうな恐怖にかられます。
それを皆それぞれ空いたスペースに立って、思い思いに始めるものですから、
初詣やこの「迎財神」の際のお参りは、私には心静かに祈ることができません。
過去に私の娘はコートのフードが燃えまして、それ以来彼女はここを訪れることを
とても嫌がります。
それでも中国の人たちは皆平気なのですから、オドロキです。


お香が松明のように燃えています

お香が松明のように燃えています

この日は幸か不幸か小雨模様だったため、ほとんどのお香は松明のようにはなりませんでしたし、
例年より参拝客が少ないようにも見受けられ、比較的静かにこの日を迎えることができました。

さあ、皆の家々に財神を迎えることはできたでしょうか。
これからの一年が楽しみです。



*上海太清宮(欽賜仰殿)
 上海市浦東新区源深路476号(源深路x欽殿街)
 TEL:(021)5876-8959
 軌道6号線「源深体育中心」4号出口よりスグ
 http://www.qcyd.org/


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