上海市内を流れる長江の支流・黄浦江（ホワンプージャン）。
その川の西岸、北は外白渡橋から南は延安東路までの全長1.5キロほどのエリア（中山東一路）を
外灘（ワイタン）と呼びます。
日本の皆さんには「バンド（The Bund）」とご紹介する方が
なじみがあるかもしれませんね。
たくさんの観光客だけでなく地元の人たちにも親しまれている上海の主要な観光地の一つです。

後に上海万博の開催準備と共にその外灘の南のエリアの再開発が進み、
その地を「南外灘（ナンワイタン）」と呼ぶようになりました。
同時に、外灘の北側にある蘇州河を越え、北東に進んで行くエリアを「北外灘（ベイワイタン）」と呼び、
南外灘ほどにははやくはないものの、こちらも開発が進んでいます。

今回私が訪れたのは、その北外灘、
上海港国際客運中心碼頭（上海港国際フェリーターミナル）に隣接する
「北外灘濱江緑地（ベイワイタン・ビンジャン・リューディ）」です。

外灘から蘇州河にかかる外白渡橋を渡り虹口区に入ってしばらく古い建物を眺めながら
黄浦江沿いに東へ歩いて行くと、大きな緑地が広がっているところにたどり着きます。
そこが北外灘濱江緑地の西端。
早速川縁に向かって歩いて行くと、浦東・陸家嘴の高層ビル群と歴史的建築物が並ぶ外灘が
目の前に広がってきます。これはなかなか贅沢な景色です。
外灘の対岸にあたる陸家嘴には、黄浦江沿いに濱江大道（ビンジャン・ダーダオ）という遊歩道があり、
こちらも北へ南へと延伸工事が続いているのですが、その様子もよくわかります。

いつまで眺めていても飽きないからといってじっと立っていても仕方ないので少し歩きましょう。
何やら不思議なかたちをした建物が見えます。その形はどこからかあふれてきたしずくのようです。
その名も「一滴水（イーディーシュイ）」、フェリーターミナルの「客運綜合大楼」とありましたが、
稼働しているようには見えませんでした。
その東にかかっている緩やかな曲線を描いた橋は「彩虹橋（ツァイホンチャオ）」、
「彩虹」とは、あの空にかかる七色の虹のこと。夜になると七色の光でライトアップされるそうです。
そういえば、昨年6月に外灘へ行った時に、不思議な七色の光を見かけたなと思い出しました。
当時はそれがこの橋の光だとは知りませんでしたので、「へんなの」としか思わず、
写真も撮っていませんでした。余談ですが、日本のロックバンド「L\'Arc～en～Ciel」の中国語名は
「彩虹楽隊」と言い、上海でも人気です。

写真の掲載点数の都合でご紹介できないのですが、この彩虹橋、西側は緩やかながらなかなか力の要る
スロープになっていて、東側は歩幅のリズムのとりにくい階段となっているため、
この橋を行ったり来たりするだけでもちょっとした運動になって楽しいです。

さらに東へ進んで行くと、透明ブロックで作ったようなおもしろいビル群が見えて来ます。
何か新しい芸術空間なのかなと思いきや、10棟のビルはそれぞれ中国で馴染みのある企業のビルと
なっています。まだ新しいからでしょうか、空室が目立つように思えました。

緑地は現在「公平路碼頭」まで続いており、このターミナルからはフェリーで浦東へ渡ることができ、
そのまま濱江大道に入って東方明珠テレビ塔などへ向かうことができます。

昼間はお年寄りが中心で静かに散歩ができますし、
日が暮れてから出かければ、黄浦江一帯の夜景を楽しむことができます。
虹口の日本に縁のある建物を散策して、上海一の夜景を楽しむコースとしてオススメです。



＊北外灘濱江緑地
　上海港国際客運中心碼頭（上海市虹口区東大名路500号）を目印に
　開放時間：6:00ー22:00

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