反既成政治派の勝利で揺れるアメリカ
2016.11.19 up
大統領選挙翌日の新聞のトップページ
11月8日火曜日、米大統領選挙が行われ、共和党候補ドナルド・トランプ氏が民主党候補ヒラリー・クリントン氏を抑えて勝利した。この結果、トランプ氏が来年1月に第45代米国大統領に就任する。米国を真っ二つに分断した2016年の選挙は、大統領選および上院・下院議員選ともに過半数を制した共和党が圧勝した。
私が住んでいるハワイ州は“青の州”、民主党勢力の強い州だ。州知事、ホノルル市長、上院議員、下院議員、すべて民主党が牛耳っている。ハワイ出身の現大統領バラク・オバマ氏の人気も手伝って、民主党候補クリントン氏は62%の投票率を以てハワイではトランプ氏を破った。にもかかわらず、結果としてクリントン氏と民主党は敗北を喫した。各方面での分析によると必ずしも単一の要因が引き起こした結果ではないとはいえ、今回の大統領選挙の最たるテーマは既成政治への反発、と言える。アメリカ国民の現状政治への不満は、非主流派の支持という形で予備選で顕著に表れた。共和党では政治経験ゼロのトランプ氏が主流派を破り代表となり、民主党では最終的にクリントン氏が代表とはなったが、既成政治を徹底的に批判した非主流派のバーニー・サンダ―スが政治経験豊富なクリントン氏を追い詰めた。本選でクリントンはサンダースの獲得した非主流派の票をトランプに奪われた結果となった。その背後には、膨れ上がった中流階級から働いても働いても報われない貧困労働階級に陥る人口が増える一方のアメリカ、資本主義と政治が癒着したアメリカ、そんなアメリカを作った今の政治に反発する手段として、主流派のクリントンではなく非主流派のトランプ氏に投票することだったと思われる。
二時間待って投票した投票用紙の半券
楽園と言われるハワイ州ホノルルの一戸建て中古住宅平均価格は今月7500万円を超えた。苦労して大学を出ても多額の学費ローンを抱える学士たちが家族を持ち、一戸建ての家を購入するのはかなり困難であるのが現実だ。家賃が払えず歩道にテントを張って生活するホームレスは年々増加している。一方で、数億円のペントハウスを有する海沿いの高層マンションの建設が続いている。民主党主導のハワイ州民にとって大統領選挙結果はショックではあったが、トランプ氏を支持したサイレントマジョリティの存在も否めない。トランプ氏が大統領に就任して、果たして何が変わるのか、を我々は見届けなければならない。トランプ氏が声高に宣言したイスラム教徒の排除、移民政策の強化、保護貿易のための関税増加、ありとあらゆる誓約は選挙に勝つための詭弁であり、今後実施される政策とは別物であろう、という期待はトランプ氏の大統領就任後直ちに明らかになるだろう。
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