オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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バカンス客を待つ、クレタ島・へルソニッソスの街。

バカンス客を待つ、クレタ島・へルソニッソスの街。

地中海に浮かぶギリシアのクレタ島北部には、とても賑やかな街、へルソニッソスがあります。風光明媚かつ温暖な気候のこの地は、つい30年ほど前まで、小さな漁村でした。また、オリーブの収穫も盛んで、夏はオリーブを育て、冬に収穫をするという素朴な農業を漁業と並行して行っていました。しかし、と1999年を境に、この島はガラッと変わってしまいます。西欧のオランダ人たちが、これぞ究極のバカンス目的地と目をつけ、どっと訪れるようになったおかげで、小さな漁村は、クレタ島一の観光地と変貌したのです。


オランダ人経営の店。お客の大半は、もちろんオランダ人たち。

オランダ人経営の店。お客の大半は、もちろんオランダ人たち。

目抜き通りを歩けば、オランダの国旗がここかしこに堂々とはためき、オランダ人専用のスーパーにはアムステルダムから直送のチーズやパンが並び、耳に飛び込んでくるのはオランダ語ばかり。カフェやレストランの従業員はもちろんのこと、地元住民も、オランダ語で会話ができるという具合です。過去10年間でこの地を訪問するオランダ人の数は、30倍に増加したという統計もあるそうですが、現在、へルソニッソスに群がってくる彼らのうち80%は、10代後半から20代前半の若い人たちです。


彼らの多くは、1年のうち4月末から8月上旬くらいまで、バカンスでこの地を訪れるのですが、それには理由があります。若い男性たちにとっては、全地形対応車とスクーターが格安で借りられ、島中どこでも乗り放題だからなのです。また、若い女性たちにとっては、土産物屋に所狭しと並べられた、本物と見まがうばかりの精巧なコピー商品を、思う存分、買い漁ることが出来るからなのだとか。それに加えて、アルコールを格安で提供するバーが、目抜き通りの両側に林立しているのです。となれば、この地に彼らが惹きつけられるのも無理はないかもしれません。


夏は書き入れ時。いろいろな商品が並ぶ店。

夏は書き入れ時。いろいろな商品が並ぶ店。

これだけ若者が集まるのですから、トラブルや事故なども絶えることなく起こります。この事態に、現地の人たちはさぞ、眉をひそめていることだろうと思ったのですが、実はそうでもなさそうなのです。クレタ島の人たちは、縦横無尽に立ち居振舞うオランダの若者たちのことを、「まあ、仕方がない」とかなり大目に見ているのです。乱痴気騒ぎは見てみぬふり、旅先なら誰でもハメをはずすもの、とあっさりしていて、実に寛大です。


冬のヘルソニッソス。雪がふることもある。

冬のヘルソニッソス。雪がふることもある。

というのも、クレタ島の人たちにとって、オランダ人たちは、大切なゲスト(お客)だからなのです。クレタ島は秋から冬にかけて雨続きの天候となり、観光客もめっきり減ってしまいます。したがって、春4月から夏8月までが、クレタ島の稼ぎ時なのです。このたった4ヶ月間で、地元民の多くは1年分の収入をすべて稼ぎ出さなくてはならないわけです。彼らの多くは、2,3の仕事を掛け持ちしており、ひと月に日本円にして100万円稼ぎ出せば御の字だとか。驚くべきことには、その収入のほぼ半分が、観光客からのチップなのだそうです。それでは、この稼ぎ時が過ぎたら、このきらびやかな街は、どうなるのでしょうか?レストラン、バー、スーパーマーケット、土産物屋、偽ブランド商品を売る店、などなど、すべてが店をたたんでしまい、文字どおり、元の静かな漁村に戻るのだそうです。小さな島にも、いろいろな事情があるものだと灌漑深い思いがします・・・


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