ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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 先月、フランスのパリで日本人女性3人が街を歩いていたら、いきなり男に塩酸をかけられたという。その後、米国でもロサンゼルスでアジア系男性(51)が襲撃され、コリアンタウンでは韓国人が暴行を受けた。ただの事件か、それとも人種差別か。


2014年のW杯ブラジル大会では日伯両国サポーターが相互に触れ合い、親善を深めた(サンパウロ市の応援会場広場で)

2014年のW杯ブラジル大会では日伯両国サポーターが相互に触れ合い、親善を深めた(サンパウロ市の応援会場広場で)

 ブラジルではどうだろう。日本人・日系人への信頼や敬愛度は高く、考えられない話だ。すべて、113年にわたる日本移民の地味な努力のおかげである。加えて、日本文化は2・3世にはもちろん、非日系ブラジル人にも広く知られている。謙虚、寛容、思いやり、礼儀正しさ、感謝の心、清潔感などだ。


2014年のW杯ブラジル大会では日伯両国サポーターが相互に触れ合い、親善を深めた(サンパウロ市の応援会場広場で)

2014年のW杯ブラジル大会では日伯両国サポーターが相互に触れ合い、親善を深めた(サンパウロ市の応援会場広場で)

 忘れもしない2014年7月のサッカーW杯ブラジル大会でのこと。サンパウロ市中心部の公園にはサポーター約2万人が集結。その中で、日本語を話す2人の男性が隅の方で小さくなっていた。

 聞くと「治安が悪いと聞き、用心している」という。「そんなことはない」とブラジル人の中へ連れて行った。日本人と知ると、2人を囲んで「日本、頑張れ!」と意外な大声援。急きょ、日本代表のユニホームに着替えて写真に収まった。一生の思い出になったに違いない。


 初めて会ったブラジル人との会話で「Eu sou japones」(私は日本人です)と言えば、即座に「Japones garantido! Educado!」(日本人は信用できる、教育がある)の言葉が返って来る。うれしい限りだ。日本人に対する偏見や暴力は、まずないと言っていい。

 毎年開かれるサンパウロ州内の地域都市の農業祭で、市長が“農業の神様”と褒めたのは日系人農家だ。多少、政治的な思惑もあったろうが、「あなたたちのおかげで我々は野菜や果物が食べられる。感謝の外はない」と敬意を表した。地球の反対側に、日本人・日系人をたたえる国がある。それがブラジルだ。


 筆者は定住約40年。この国で堂々と生きられるのも、日本本国の発展と日本移民の努力のおかげだと思っている。


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