公用語が四つあるスイス。言語の境はどこにある?
2023.04.09 up
(上)首都ベルンはドイツ語圏(左)ジュネーブはフランス語圏(右)ティチーノ州はイタリア語圏にあります
スイスといえば多言語国家。九州ほどの面積しかない小さな国の中に、なんと公用語が四つもあって、地域によってドイツ語(約62%)・フランス語(約23%)・イタリア語(約8%)・ロマンシュ語(約0.5%)といった言葉が話されています。(データ/Der Bund kurz erklart 2023)
そのためこの国では数カ国語以上を自由に操る人が多く、しかも在住外国人も多いので、英語やポルトガル語といった、四つの公用語以外の言語もよく耳にします。
スイスの言語圏マップ(The Swiss Federal Statistical Office/スイス連邦統計局)
ただ、互いに共通言語がなければ同じ国民同士でも意思疎通が困難となるため、例えば初対面の人同士では、最初に「何語が話せますか?」とどの言語でコミュニケーションを取るか確認する必要があります。
日本だと日本語のみで生活できますが、隣の県と言語が違うのが当たり前といった、多言語・文化圏をもつスイスでの暮らしは、10年以上たっても興味深く、同時に複雑さも感じます(苦笑)。
通りの名前も、ドイツ語とフランス語の2カ国語で表示されています(フリブール州)
同じ国でも言語が変われば、文化や国民気質も違いますから、スイス国内でも地域によってそれらが大きく異なってきます。そのためこの国の主な言語であるドイツ語とフランス語の言語・文化境界線のことを≪レシュティ・グラーベン(Rostigraben /「レシュティの溝」≫と呼んだりして、ドイツ語圏とフランス語圏を比較したりもします。
ちなみに「レシュティ」とは、スイスの主にドイツ語圏で好んで食べられるジャガイモを細かくしてパンケーキ状にした郷土料理です。
スイスの伝統料理レシュティ
さて、この≪レシュティ・グラーベン≫こと「レシュティの溝」はどこにあるのでしょうか。
一般的にはバイリンガル州のフリブール内を流れるサリーヌ川(ザーネ川)を南北に切ったら、だいたい西側が仏語圏、東側がドイツ語圏となる、と言われています。
フリブール州のサリーヌ川沿いに建つ、≪レシュティ・グラーベン≫の碑
それを記念する≪レシュティ・グラーベン≫のモニュメントも、フリブール州のサリーヌ川沿いに建てられています。
モニュメントは、昔ながらの古い町並みが残る、谷間の旧市街(BasseーVille)にありますので、観光などに来られた際はぜひ探してみてくださいね。
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