メキシコ

メキシコ:グアダラハラ

龍崎 節子(りゅうざき せつこ)

職業…民芸品輸出、撮影コーディネート、通訳翻訳
居住都市…グアダラハラ(メキシコ・ハリスコ州)

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石の保冷庫

2024.10.26 up

 田舎の村にある広い農場の片隅に、石棺のようなものを見つけました。

 高さ100センチ、80センチ×120センチほどの石に、木製の蓋が蝶番で付けられています。

 石棺、石碑、記念の何か、と思ったものの、それを記すものが何もなく、置いてある場所も中途半端な感じ。すると、農場の方が通りがかってその木のふたをバタンと開けて見せてくれました。

 中は広くくり抜かれ、氷の袋が入っています。


 ちょうどこの日は農場の一角でパーティが行われており、飲み物に使う氷をここで保管していたようです。

 農場の方曰く、電気も家電もなかった100年ほど前に、保冷庫がわりにこの石をくり抜いたものを、風通しのいい木陰に置いたのだとか。この使い方は各地に広まっているようで、特に氷などを入れなくても木陰の石の中はひんやりと涼しく、朝晩の冷たい冷気をそのまま1日保ってくれるんだとか。


一番暑い時期にも関わらず、氷は全く溶けていません

一番暑い時期にも関わらず、氷は全く溶けていません

 空気の流れと木陰、低湿度という現地の環境を十分に活かしたこの天然の保冷庫。時代とともに脇腹に栓抜きも取り付けられるなどして、家族の姿を見てきたんでしょう。この先もまだ何十年と、ここにいて欲しいものです。




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