夫婦で一緒に、ワンオペ育児大歓迎?オランダ人男性たちの嘆き
2024.05.23 up
ワンオペも大歓迎?両親の本音は?
日本では、ワンオペ育児が主流なんでしょう?うらやましい!とか、自然の摂理からいっても、やっぱりそれがベストなんじゃないのかな?など、小学生以下の子供を持つオランダ人男性たちが、ため息交じりに吐くそんなセリフを頻繁に耳にします。
中には、ワンオペ100%賛成の人もいるほど。彼らの言い分は「家事と育児と仕事の3本立てを、自分ひとりで全部引き受けるワンオペが夫婦の基本と考えれば、誰が何を分担するかでもめてケンカになることもないだろう」というのです。つまり、夫婦がお互いにワンオペを担い、遂行するならば夫婦円満にいくのではないか?ということなのでしょう。
オランダ人男性は、他のヨーロッパ諸国の男性と比較すると、実に家庭的であるといわれています。料理も洗濯もそつなくこなし、子どもが生まれれば器用に育児も行い、仕事も結構うまくやってのけるのが一般的だからです。
どうして彼らが家庭的なのか?というとごく自然な成り行きで一人暮らしを始める機会があるからだといいます。この場合、独立すれば家事はもちろん自分で行わねばならないから、一生懸命、自分で覚えるしかない。この積み重ねがあるから、家庭的な男子ができあがるのです。
親元から離れ、パートナーを得ても、彼らはこの姿勢をあまり変えません。料理は男女お互いでするか、時間があるほうが率先して行うか、もしくは店屋物をとるか、自由に決めるのです。掃除や洗濯とて同じで、「手が空いている誰かが行えばよい」のが家事の基本となっています。
ただし、子どもが生まれると状況は変わります。それまで自由に行っていた“家事の基本”に沿えなくなるのです。料理や掃除と違い、子どもを扱うとなれば、それまでは融通がきいたことでも、かなり制限を受けるようになります。つまり、何から何まで嫌が上にもパートナーと「分担」しなくてはすべてがうまく回らなくなってしまうのです。
たとえば、1週間のうち、何曜日と何曜日はどちらが買い物に行って料理を担当するか、とか、何曜日はどちらが子どもをお風呂に入れる番、とか、すべてを分担して事細かに決めなければならなりません。気心知れたパートナー同士でも、以前と全く違う生活パターンを送らねばならないのだから、意見の食い違いを生じてケンカになりますし、果ては離婚に発展する可能性すらあるかもしれません。
独り住まいで築きあげ、パートナーを得てからも臨機応変に立ち振る舞い充実させてきたそれまでの生活パターンを、育児のために無理やり変更するのは、やはり意に反している!と考える男性は多いようです。ならば、だ。夫婦がお互いに、ワンオペを基本とすれば、ヘタに家事・育児・仕事を分担する必要がなくなるから逆にラクなのでは?と彼らは考えるのです。
家事や育児、その上に仕事をたった一人で全てこなすのは、重労働ということを、彼らは百も承知。しかし、家事・育児をシェアする義務にしばられず、「全部自分でやるのが基本」と考えれば、相手に対して不満を抱くこともなかろう、というのです。
オランダでは、実際にワンオペを行っている男性も少なくありません。しかしこの場合、パートナーがフルタイム勤務で高収入という条件がつきます。つまりワンオペは、「パートナーより低収入」のほうが率先して行うこと、というイメージが現行では、なきにしもあらずなのです。このような理由もあって、ワンオペを夫婦でお互いが受け入れる土壌があればいいのに、とオランダ人男性たちはため息をつくのです。
それでは、彼らのホンネを聞いてみましょう。しかし、ただ聞いただけでは躊躇(ちゅうちょ)したり、嘘をついたりするでしょうから、まずは彼らにとって理想的な青写真を提示してみます。「もし、あなたのパートナーがかなりの高収入で、かつワンオペを引き受けてくれたらどうする?」と、たずねたところ、「そういうすばらしいパートナーがほしい!」「だったら、なーんにもしなくていいんだからもちろんラクだよね」だそうです。
これは、うがって考えれば、家事も育児も、はては仕事までもを女性側に全部任してしまいたい、という男性陣のホンネがちらほら垣間見える感さえありますが、男女平等という考え方がしっかりと根付いているはずのオランダ人男性の、これぞ本心か?と思うのは間違っているでしょうか?
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