オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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ヨーロッパのギリシア共和国の南方にある、地中海に浮かぶクレタ島。面積は約8300平方メートル、日本の兵庫県とほぼ同じ大きさで、同国諸島の中では最大の島です。1年を通じ、平均気温が20度前後で温暖なため、特に北・西ヨーロッパからやってくる観光客でにぎわう、バカンス目的地でもあります。特に毎年6月から9月上旬までは、観光客が島の人口の数倍にも膨れ上がり、まさにバカンスのための島、という雰囲気を醸し出しています。


チコウディア。ギリシア本土では、ラキと呼ばれる

チコウディア。ギリシア本土では、ラキと呼ばれる

 このクレタ島には、チコウディアと呼ばれる地元のお酒があります。これは、ブドウの絞りかすを発酵させた蒸留酒で、製品により差がありますが、アルコール含有量は約40度。このチコウディアをショット・グラスに注ぎ、食後酒として飲むのが、地元民たちのしきたりでもあります。アルコール度が高い割りに、喉越しがさわやかで、葡萄の香りがほんのり漂う、このお酒を飲みながら、わいわいと夜遅くまで語り合うのが、クレタ島の夏の風物詩となっています。


エーゲ海を臨みながら飲むチコウディアは格別

エーゲ海を臨みながら飲むチコウディアは格別

 クレタ島は、夏は日差しが強く乾燥し、冬は一定量の降雨がある、典型的な地中海性気候に属し、この気候が、一般ワイン用のブドウ栽培に適しているといわれます。島ではもともと、18世紀頃からワイン作りが盛んでしたが、島出身の政治家・エレフテリオス・ヴェニゼロスは、ワイン農家が副収入を得られるよう、ブドウの搾りかすを用いた蒸留酒の製造を考案し、奨励しました。これが1921年のことで、以来、このチコウディアの製造許可が各ブドウ農家へ与えられることになり、クレタ島の島の酒として広く愛飲されるようになりました。


 このお酒は、消化を助ける働きがあるとされ、地元のタベルナ(レストラン)では、ランチやディナーを満喫した後に、無料(あるいは有料)で提供されます。飲み方は、あくまでもストレートで味わうのが基本。水で割ったり、氷を入れたりせず、長時間冷やしたものを味わいながら飲むのが、もっとも美味しく嗜むコツだそうです。おつまみとしては、オレンジやメロンなどの果物を煮たもの、ピーナッツ、そして、地元原産のオリーブなどが一緒に運ばれてきますので、これらをさかなにして味わうのもまた格別です。


クレタ島の街並み。地元の人たちがくつろぐカフェやレストランが軒を連ねる

クレタ島の街並み。地元の人たちがくつろぐカフェやレストランが軒を連ねる

 クレタ島の住民たちは、とても陽気です。家族や友だちのみならず、島を訪れた観光客をも交え、水入らずでおしゃべりしながら、食後の時間を楽しく過ごすのが大好きです。そんな彼らの片手には、いつもチコウディアが。ギリシア語で乾杯のことをヤマス!といいますが、午後10時過ぎにようやく陽が落ち、ディナーが終わる頃、チコウディアが入ったグラスをぶつけながらヤマス!(乾杯!)という声が、今日もクレタ島に響き渡ります。


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