オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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動物専用救急車

動物専用救急車

 「人間が道で倒れても、救急車なんて来ない」「私が生まれた国には、ろくな病院すらない。誰かが道で倒れても、救急車なんて来たためしがない。それなのにオランダでは、小鳥一羽を助けるために、夜中でも救急車が出動するんですね!」これは、動物専用の救急車があることを知って驚愕した、とあるクラスメートの言葉です。

 渡蘭して1カ月が過ぎたころ、筆者は近所の語学校に通学し始めました。世界各国からやってきたクラスメートたちの国籍はさまざまで、さながら万国博覧会といったところ。その学校のカリキュラムには、生活に役立つ情報を教える時間があり、クラスメートたちから最も大きな驚きの声があがったのは動物専用の救急車の存在を知った時でした。「動物の命をそこまで大切に考える人たちがいる、ということですね!」と、クラスメートたちは、深く感心していたのが印象的でした。


各市町村に動物専用救急病院がある

各市町村に動物専用救急病院がある

 オランダには確かに、動物専用の救急車が存在します。この救急車を運転したり、動物たちに応急処置を施すのは、救命に献上するボランティアたちです。救急車で動物保護施設に運び込まれるのは野生動物のみならず、犬やネコ、うさぎなどの愛玩動物や馬や牛などの家畜の場合もあります。そのため、救急車は大型動物の運送用トレーラーを引きながら救助に向かうことも。
 
 もっとも多い「救急患者」はハト、カラス、白鳥などの鳥類だそうです。また、自動車事故の被害に遭いやすいのはハリネズミ、キツネ、アナグマ、そしてシカだそうです。


救助隊員はボランティア

救助隊員はボランティア

 動物たちの治療に当たるため、保護施設で待機しているのは、獣医はもちろんだがインターン生やアシスタント、そして動物専門の整体師などです。怪我の手当はもちろんですが、傷が癒えた後のリハビリにも対応しています。羽を痛めた鳥たちが再度、大空に戻れるよう飛行練習をさせたり、ギプスがとれたばかりの鹿の徒歩の補助をしたり、海で迷った幼いアザラシに泳ぎ方や魚の捕り方を教えたり、自然へと戻れるよう手厚い看護を行います。


動物専用救急車と子供たちを主人公にした読本

動物専用救急車と子供たちを主人公にした読本

 動物はけがをしたり、病気になっても、言葉が話せません。ゆえに、苦痛を人間に直接訴えることもできません。したがって、人間のほうから率先して救いの手を差し伸べるべき、とオランダ人たちは考えているそうです。1992年9月、オランダでは「動物の健康と福祉に関する法律の第36か条」が施行されました。それには「人間は動物の世話や看病、救助を提供する義務を担っている」と記されています。


 オランダの小学生に、「将来、何になりたい?」と尋ねてみると、多くの子どもたちが「動物救急病院で働きたい!」と答えます。それは単に、動物が好きであるのみならず「命を助けたいから」という希望があるからだそうです。子供たちの熱い視線を浴びながら、動物専用救急車は今日も、森を目指し、海へと向かい、そして街へと、ハイウェイを疾走しています。


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