皆さんは、スリナムという国を御存じですか？

　日本のおよそ半分の面積を持ち、南アメリカ大陸では最も小さい独立国でもあるスリナム共和国は、１９７５年まではオランダに属していました。国土の８０％はジャングルで覆われ、今世紀に入っても前人未到の場所があるほどで、新種の動物や植物が発見されるという野性味にあふれる神秘的な国です。

　スリナムの国民の構成はとてもユニークです。オランダ人をはじめ、インドや中国など、世界中からやってきた移民の人たちと、原住民の人たちが共存し、それを反映する文化も国際色豊かです。その中でも特に食文化が豊かであることは特筆すべきかもしれません。たとえばインドからの移民がもたらした各種カレー、中国移民が伝えた炒飯というように、各国を代表する料理に、現地でとれた食材や香辛料を加えた、スリナムならではの料理や飲み物もたくさんあります。

　たとえば、パンチの効いた「ロティ・カレー」は、チキン、ジャガイモ、インゲン、ゆで卵をカレーソースで和えた料理です。また、インドネシア風焼きそばの「バミ」も、スリナム風になるとサンバルと呼ばれる辛子のペーストが加えられ、さらに芳ばしく、人参やチンゲン菜などの野菜が豊富に入ったヘルシーな一品になります。

　オランダからは、チーズやヨーグルトなどの乳製品がもたらされましたが、スリナムではヨーグルトを温めて食べることもあるそうです。そうすることで、腸内乳酸菌の活動量が増えて基礎代謝量が上がり、痩せ体質になる、と考えられているからだとか。真偽のほどはわかりませんが、女性たちの間で人気があるヨーグルトの食べ方だそうです。

　１９７５年にオランダから独立したスリナムは、南米では最も多様な民族が住んでいる国のひとつです。この各民族がもたらした豊かな食文化は、他に類を見ないほどバラエテイに富んでいます。独立により「常夏のオランダ」と呼ばれていた時代は去りましたが、スリナムならではの食材はオランダ国内でも購入することができますし、スリナム人の方々主催の料理教室では、本場の味を習うことも出来ます。日本からスリナムまで行くには、飛行機を乗り継ぐ事になりますが、ユニークでひと味違う旅行先としてもおススメの国です。

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