オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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ハーリングと呼ばれる、塩ニシンは今が旬

ハーリングと呼ばれる、塩ニシンは今が旬

 オランダ語でハーリングというニシンは、初夏から夏にかけての風物詩です。別名をホランゼ・ニュー(オランダの新しいもの、という意味)といい、そのものずばり、旬の魚のことを指します。これは、北海で収穫された生のニシンを、りんご酒、ワイン、紅茶、を混ぜた酢に漬け込んだもので、香り付けにはナツメグが使われています。歴史は古く、冷蔵庫がなかった中世時代に、ニシンをいかにして長期保存するか?と人びとが試行錯誤した果てに生み出された保存食の一種でもあります。


塩、酢で漬けられたニシン。かつては貴重な保存食だった

塩、酢で漬けられたニシン。かつては貴重な保存食だった

 酢漬けにする点は、日本のなれ寿司に似ている、といえなくもなさそうなこのニシンですが、オランダならではの独特の食べ方があるのです。尻尾を持って手からつるして、「エエン、トヴェ、ドリー(オランダ語で、1,2,3)」と叫びながら一気に口に入れるのです。このニシン、お皿の上にわざわざ載せたり、ナイフを使ってちまちまと切り分けて食べたりするのは最も邪道とされ、嘲笑の的になってしまうとか。


 もちろん、各個人が好きな方法で食べても構わないのですが、特にオランダ人が机に座ってお皿の上に乗せ、きちんとナイフで切って食べたりすると、他のオランダ人たちからは、「もっと豪快に食べなさいよ!」などと言われてしまうそうです。


吊るして食べる、独特なスタイル

吊るして食べる、独特なスタイル

 毎年、最も新鮮な特別限定モノは、まず国王に進呈されるのがしきたりとなっていいます。この際、国王も伝統に則り、素手でハーリングを持ち、一般庶民と同じように吊るし食べをしなくてはなりません。その写真が新聞の第一面に掲載されると、国民たちは王に対し更なる親近感を感じ、ならば我もとニシンを買いに走るというわけです。つまり、毎年恒例・国王の吊るし食べはニシン購入促進に一役買っているともいえそうです。


画像は国王夫妻ではないが、集会などではこのようにして食されることが多い

画像は国王夫妻ではないが、集会などではこのようにして食されることが多い

 また海外では北海のニシンが手に入りにくいため、安価なアフリカ産の熱帯魚を使った似非ハーリングなるものが出回るのではないか?とまことしやかに囁かれているそうです。新天地を求め世界中に散らばったオランダ移民も多いですが、彼らによる新・ニシン・ビジネスがもしかしたら全世界をも制覇する日がやってくるのでしょうか?


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