オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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 オランダ王室メンバーが一般の家や企業などを訪れ、日曜大工や掃除の手伝いに精を出す…えっ、そんなことがあるの?それが、オランダにはあるんです!国王のウィレム・アレキサンダーを始めとするロイヤル・ファミリーの面々が、一般民たちと一緒にボランティア活動に従事することがオランダでは恒例化しているのです。


土を運ぶのは、国王・ウィレム・アレキサンダー。

土を運ぶのは、国王・ウィレム・アレキサンダー。

 各種あるボランティア活動の中でも、もっとも話題に上るのが、毎年行なわれる無償奉仕活動を奨励するという2日間にわたるイベントです。今年の参加者数は国内で約32万5000人だったそうですが、王室メンバーもその中に混じり、2日間にわたって一生懸命汗水流したというわけです。


ヤギやヒツジの世話をする、元女王ベアトリクス妃。

ヤギやヒツジの世話をする、元女王ベアトリクス妃。

 オランダの王室メンバーは、そのだれもが非常に気さくで国民から大変に人気があります。彼らは、参加可能なイベントがあればどこへでも駆けつけ、一般の人びとの身近にいることを誇りにしているほど。この毎年恒例イベントも、王室メンバーが音頭を取って実現したチャリティ活動の一環ですが、積極的に庶民と接する場をつくり、彼らとの交流を心から楽しんでいる様子は、傍で見ていても実に微笑ましいと思います。

 今年は、オランダ本土のみならず、カリブ海に浮かぶ旧蘭領の地域からも国王にぜひペンキ塗りを手伝ってほしい!というリクエストが来ていたそうですが、王室メンバーに何を手伝ってほしいか?という質問に対するリクエストは、なんと8700件もあったそう。


 それでは王室メンバーたちは、一体どのような手伝いを行なったのでしょうか。セキュリティ面を考慮にいれ、どの王室メンバーが、どこでどんな奉仕活動に従事するのかが、事前に公表されることはありません。しかし、彼らを受け入れる側は、イベント開催の半年前からすでに全貌が知らされており、こうした情報がおのずと外部に漏れるのは当然のようで、現場にはたくさんのマスコミが詰めかけていたそうです。


手作りのマフィンを運ぶのはマキシマ女王。

手作りのマフィンを運ぶのはマキシマ女王。

 国王ウィレム=アレクサンダーは、たとえば子どもたちの遊び場に新しい柵を作る手伝いをし、マキシマ女王は、子ども動物園で、ヤギ小屋の建て直しの手伝いを担当しました。馬小屋のペンキ塗りと掃除、そして介助犬やセラピー用ポニーをお風呂に入れたのは、元女王のべアトリクス妃でした。

 毎年のごとく大活躍ぶりを見せた王室メンバーが参加し、大盛況だったこのイベントの締めくくりは、ベアトリクス妃みずからが手作りした軽食が、王室メンバーたちによって老人ホームのお年寄りに配られ、大成功のうちに幕を閉じたそうです。チャリティ活動に名前を貸すのみならず、実際に腕まくりをして国民と一緒に一生懸命、汗水流して働く王室メンバーたち。いつも庶民の近くにいてくれる彼らの心は、ステイタスと同じく 非常に豊かなのだ、ということを、強く世にアピールするイベントともいえそうですね。


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