観光立国スイスの混沌とした「宿泊税」事情
2024.07.15 up
スイスの観光地を散策する人々
今月初め、北海道知事が「宿泊税」を2026年4月にも導入する方針を表明しました。
宿泊税による収入を、交通インフラやオーバーツーリズム対策などに充てる予定だとのことで、税額は宿泊料5万円以上で500円、2万~5万円未満で200円…と段階的な税額を採用するそう。
日本では、すでに東京都や京都市などが宿泊税を導入していますが、海外でもこの宿泊税(観光税)はおなじみの税で、スイスなどヨーロッパでも広く採用されています。
ただスイスの宿泊税システムはかなり混沌としており、宿泊税率が不透明な自治体が多く、そのため宿泊施設を予約した時点でやっと税額が分かることがほとんど。
このホテル宿泊時には、大人1人当たり4スイスフランの宿泊税(観光税)がかかる旨が記されていました
そこでスイスのある大手価格比較ポータルサイトが、国内の人気観光地トップ80における宿泊税を調査・比較したそう。
その結果自治体によりばらつきが大きく、観光客にとって非常に分かりにくい体系になっていることが分かりました。自治体それぞれが設定する税額に加え、宿泊施設のタイプによって変動するケースもかなりあるそうです。
まず最も宿泊税が高かったのがサースフェー(ヴァリス州)とモントルー(ヴォー州)で、一人一泊当たり7スイスフラン(約1260円)。その他の自治体ではおよそ4~6スイスフラン(約720円~1080円)というところが多いよう。
スイスの多くの観光地・自治体ではっきりした税率が明記されていない中、住民税を明確にしていたのは、スイス西部のジュネーブ州(一律3.75スイスフラン/約675円)とイタリア語圏ティチーノ州(一律6.20スイスフラン/約1110円)のみでした。
スイスの宿泊税には、公共交通機関が利用できるパスが特典としてついてくることも
また宿泊税は無料という自治体もあり、ますますスイスの宿泊税ルールが分からなくなります。
宿泊する自治体や観光局に問い合わせても、答えが統一されておらず、正しい税額を知ることなく、観光地で安くない宿泊税を支払うことになります。
このように日本に比べて高く設定されている宿泊税ですが、それには理由があり、宿泊税を払うことで、その地で使用できる公共交通機関のパスが無料で配布されたり、近隣の観光施設に無料・もしくは割引価格で入場できるといった特典がついていることがほとんどだからです。
ただこういった“特典”を使用しない宿泊客は少なくないですし、観光施設も時期によっては閉館していて入館できず、特典利用できないこともあるので、やはり宿泊税は一律に設定してもらいたいな、と個人的に思うのでした。
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