オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

前の月へ

2024.11

次の月へ
S M T W T F S
     1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ジンジーニャの原料となるサクランボ

ジンジーニャの原料となるサクランボ

 ジンジーニャ(またはジンニャ)は、サクランボを原料にして造られるポルトガルのリキュールです。真紅に熟したサクランボを、ブドウ焼酎に半年から1年ほど漬け込み、そのあとで砂糖水を加えるというシンプルな製法で仕込まれます。原料として使われるサクランボは、スミミザクラ・レッド・モレロ種の果実で、ポルトガル語ではJINJA(ジンニャ)と呼ばれます。


ボトルにはサクランボも一緒に詰められている

ボトルにはサクランボも一緒に詰められている

 ポルトガルの首都リスボンの近郊にある、オビドスと呼ばれる村とその周辺は、このサクランボの産地として知られていますが、このサクランボは酸味が強いため、ポルトガルでは昔から、砂糖を加えてジャムやジュースに加工して食されていたそうです。しかし18世紀のこと、首都リスボンに住んでいたフランシスコ・エスピネイラという修道士が、このサクランボを使ってお酒が作れないものだろうかと考え、所属する教会の調理場で、ワインから造られるブドウ焼酎・アグアルデンテにサクランボを加え、砂糖とシナモンと共に漬け込んで数カ月間発酵させてみたのです。その後も試行錯誤をくり返した結果、彼はついに1840年、芳香高く美しい色合いのリキュールを完成させたのです。


赤い色が印象的

赤い色が印象的

 アルコール度が17~18度くらいのジンジーニャは、冷蔵庫でよく冷やし、ショットグラスに20ミリリットルくらいを注いで飲むのがもっとも美味しい飲み方。ピーナツなど塩味のおつまみと一緒に嗜めば、甘さが緩和され、お酒そのものの美味しさが引き立つでしょう。


チョコレートのカップに入れて飲めば、その風味もまた格別

チョコレートのカップに入れて飲めば、その風味もまた格別

 リスボンにはジンジーニャだけを売るバーもあります。ここでは「コン・フルット」(果実入り)または「セン・フルット」(果実なし)があり、前者なら、飲み干した後、カップの底に残ったサクランボの味を楽しむことができます。また、バーではチョコレートで作られた一口サイズのカップも販売しています。これにジンジーニャを満たして食べると、チョコレート・ボンボンさながらの甘さとほろ苦さが楽しめるというわけです。


 ジンジーニャは、家庭で手作りされることもあります。サクランボと砂糖、そしてブドウ焼酎を、1:1:2の割合で口の大きなガラス瓶に入れ蓋をゆるく閉め、3カ月ほど地下室に保存しておくだけで簡単に作れるそうです。ポルトガル人たちにいわせると、自家製ジンジーニャは、作ったことを忘れた頃に思い出して飲むのが、もっとも味わい深いのだとか。
 
 バーで、仕事帰りに一杯のジンジーニャをあおるのもいいでしょう。自家製のジンジーニャをグラスに注ぎ、ソファにすわってゆったりと味わうのも、また至極のひとときに違いありません。


レポーター「フリードリヒス カオル」の最近の記事

「オランダ」の他の記事

0 - Comments

Add your comments

サイト内検索

Name(required)

Mail(will not be published)

Website

Archives