オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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大西洋に浮かぶピコ島。

大西洋に浮かぶピコ島。

 ポルトガル主都・リスボンから西へ1500キロの大西洋に、ピコ島というちょっとかわいらしい響きを持つ名前の島があります。ポルトガル語で、イルハ・ド・ピコ と呼ばれ、ポルトガル領・アゾレス諸島に属し、国最高峰(2351m)の火山の名前・ピコを島名に冠しています。


ピコ島のブドウ畑。

ピコ島のブドウ畑。

 島は、他のポルトガル領の島々よりも静寂さを保っているといわれます。それは、急激な観光地化を免れたおかげで、島特有の火山岩や溶岩が形成した、ダイナミックな自然がそのまま残されているからです。この島はかつて、北欧の捕鯨船が立ち寄る中継地でしたが、16世紀の大航海時代になると、本土から修道士たちが入植し、溶岩だらけの島を開拓しながら、ブドウが育つような土地柄に変えていきました。そして、彼らの尽力の結果、ピコ島は、世界にその名をはせるワインを産出することになったという歴史を持っています。


伝統的な方法で製造されるピコワイン。

伝統的な方法で製造されるピコワイン。

 このピコ島産ワインは、総称でヴィーニョ・ド・ピコ(ピコのワインという意味)と呼ばれ、原料であるブドウ産地の統制が、政府によって行なわれているという、いわば、政府御用達の味を守り続けています。また、農業従事者たちが、収獲したブドウを足で踏んで搾汁するという、古式ゆかしい製作過程を未だに行なっている点もユニークです。


ピコ島のワイン造りがデザインされた切手。

ピコ島のワイン造りがデザインされた切手。

 このピコ・ワインの特徴を、現地のポルトガル人たちに聞いてみました。彼らによれば、このワインを味わうためには、食事中ではなく食前か、食後に飲むべきだそうです。では、このワインには、どんな料理がぴったりくるのでしょうか?それにはやはり、ポルトガルの新鮮な魚介類を使って作った、南ポルトガルの郷土料理カタプラーナが1番だということです。さらに、新鮮な刺身の味を知っているポルトガル人たちは、サシミはもちろん、スシにもぴったり、と太鼓判を押します。


魚介類を煮た伝統料理カタプラーナにはピコワインがぴったり。

魚介類を煮た伝統料理カタプラーナにはピコワインがぴったり。

 カタプラーナや、スシのアペリティフ及びデザートの役目までも果たすというピコ・ワインの芳香と味。そして、ブドウ畑を背景にした景観が2004年には世界遺産にも選出されたピコ島。機会があったらぜひピコワインを楽しむために、このとっておきの島を訪れてみてください。ポルトガルの首都リスボンから、直行便で2時間半で行けます。


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