オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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アフリカ・サハラ砂漠の気候に近い島々

アフリカ・サハラ砂漠の気候に近い島々

 アフリカ西岸の大西洋上に浮かぶスペイン領カナリア諸島は、一年を通じて温暖な気候であることから、北欧や西欧人たちから人気の高いリゾート地です。グラン・カナリア島をはじめとする7つの島から成るこの諸島の総称は、スペイン語で「犬の島(イスラス・カナリアス)」といい、先史時代、人口より圧倒的にその数が多かった野犬にちなむといわれています。


一年を通じ、平均気温は18度〜25度前後と過ごしやすい

一年を通じ、平均気温は18度〜25度前後と過ごしやすい

 この島々には、ひっきりなしに訪れる観光客はもちろんのこと、いわゆる野良ネコが多く、ネコ好きな観光客の呼び物になっています。しかもそのほとんどが、かつてはペットとして飼われていたネコたちだといいます。地元の人たちが飼いきれなくなって放棄したり、欧州からの移住者たちが祖国から連れてきて、島に残していったネコたちが、そのまま居着き、繁殖しているからです。


観光地周辺に住む野良ネコたち

観光地周辺に住む野良ネコたち

 諸島の各リゾート地周辺は、ネコたちにとっては住みやすいといえるでしょう。ホテルやレストランの近くでは、常にエサにありつけるため、ネコの数は増えるばかりです。ネコ好きな観光客らにとって、彼らは一種の呼び物的存在であり、毎日決まって顔を出すネコたちのほとんどが、よく人になれており、中には芸当をしてみせるネコもいるほどで、エサのもらい方も実に堂に入ったものです。


クライアントを呼びこむ、客寄せネコたち

クライアントを呼びこむ、客寄せネコたち

 しかし、そんな可愛いネコたちも、実は地元民にとっては「害獣」とされることも。たとえば、掃除の行き届いたホテルの庭に、定期的にやって来て粗相をする、それにハエが群がって…といった不衛生な状況を生む要因となっているためです。ネコ嫌いの観光客からは苦情が絶えず、地元民たちも長年、このネコ問題についての解決策が見つからず、頭を抱え続けてきました。


ネコ用カフェでは、餌や水が用意されている

ネコ用カフェでは、餌や水が用意されている

 そこで立ち上がったのが、欧州からの移住者による、チャリティ団体です。この団体では、ネコの数を毎年2回ずつ調査し、必要とあれば避妊手術を行うことで、現状以上にネコの数を増やさないよう、コントロールする活動を行なっています。たとえば、カナリア諸島内で2番目に面積が広い島、フェルテヴェンテュラ島全域では、現在、約千匹のネコがいるのですが、その80%がすでに、この団体に所属する獣医師によって避妊済みであるといいます。この定期コントロールや避妊手術費、そしてエサやりなど、世話のすべてが、世界中からの寄付によってまかなわれているといます。
 
 特に、ネコのために島の各所に作られたネコ用カフェは、その斬新なアイディアを以てして、地元民らからも絶賛を浴びています。このカフェには、チャリティ団体員が毎日訪れ、新鮮なエサと水を設置するのですが、ネコ好きの観光客たちも、エサをここに持参すれば、楽しいひとときをネコたちと一緒に過ごすことができます。カフェには、トイレもついており衛生的なので、ひいては、島の自然や環境を守ることにもつながるといえるでしょう。もとはといえば、人間たちの身勝手から飼育放棄されたネコたちですが、彼らが一方的に恨まれる根拠は、どこにもありません。チャリティ団体員たちのこうした地道な活動により、ネコと人間たちが上手に共存するための試みに、近隣諸国からの注目が注がれ、今後の活動にも期待がもたれているそうです。


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