オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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チョコレート色をさらに濃くした漆黒のケーキ

チョコレート色をさらに濃くした漆黒のケーキ

 カップ・ケーキの世界的流行に影響された結果か、ヨーロッパの街角で見かけるスイーツも、カラフルさを売りものにしている商品が多いようです。完成されたアートと見まがうようなケーキやデザートが、もはやスイーツの定番となっていますが、ポルトガルの南部には素朴な姿が売りもののケーキが存在します。それが漆黒のケーキ、TRIO ARGARVIA(トリオ・アルガルビア)です。


アイスクリームを添えればさらに格別の味

アイスクリームを添えればさらに格別の味

 一般に食感は、色に左右されるといいます。美味しそうに見えるケーキの基本色と言えるのは、黄色やピンク色、オレンジ色などですが、それでは真っ黒なケーキが目の前に登場したとき、食べたくなるかどうか?というと…。実際、ありきたりなケーキに飽きた人たちがぜひともトライしてみよう、という気を起こさせる特別な色、それが黒なのだそうです。


原料のアルファローバ豆

原料のアルファローバ豆

 このケーキが黒いのは、原料の黒い豆にによります。Aアルファローバ(英語ではキャロブ)と呼ばれる黒い豆を乾燥し細かく砕き、バターや小麦粉、卵、干したいちじく、アーモンドの粉と混ぜて焼けば、黒いケーキが出来上がります。このケーキの名前であるトリオ(3の意味)ですが、この地方特産であるいちじく、アーモンド、そしてアルファローバの3つの原料を使用していることに由来しています。


木に実ったアルファローバ豆

木に実ったアルファローバ豆

 材料の黒い豆・アルファローバですが、秋から冬にかけ、海岸の崖に群生する野生のアルファローバの木々に、鈴なりになっているのを、地元の人たちが収獲します。これらを乾燥させ、水分が飛んだら細かく砕き、他の材料と混ぜてやくのですが、地元のカフェやレストランでは、独自の味やデザインを編み出して、自家製のトリオ・アルガルヴェを提供しています。


大西洋を臨む欧州最南端、ポルトガル南部の景観

大西洋を臨む欧州最南端、ポルトガル南部の景観

 地元民によれば、アルファローバ豆は、栽培されているものでなく、野生の木から収獲されるものが一番!なのだそうです。さて、その味は?というと…。さすがに原材料が豆であるからか、日本のようかんの味によく似ており、あっさりしています。ケーキなのに和風の味わいが楽しめるという感じです。ちなみに、このトリオ・アルガルヴェ、まさに手作りの逸品ということで、値段は高めです。直径18センチのケーキで、日本円にして約4000円ほどですが、欧州最南端のこの地方特産ということを加味すれば値段に値する絶品の味といえるかもしれません。


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