トルコ料理は、世界三大料理のひとつと一般に言われているそうですが、あまりなじみがないと思う方もいらっしゃるかもしれません。欧州とアジアのちょうど境界線に位置するトルコは、実は日本食に少し似た料理を提供するといわれています。米を使った料理が多いこと、そして野菜や肉など本来の味を自然に生かした家庭料理が親代々受け継がれていることなどが、その理由です。フランス料理、そして中華料理と肩を並べる美味しさ抜群のトルコ料理とは、一体、どのような料理なのでしょうか？

　トルコは、東西の文化の接点と呼ばれる地域にある国です。西にはギリシア、地中海があり、東はアジアや中東への貿易で栄え、古来からさまざまな文化が混ざり合い、トルコ独自の文化を形成してきました。食文化もしかり。近隣諸国のバラエティーに富む食材が多くもたらされ、融合された結果、独自の料理が編み出されました。

　トルコと聞いて思い浮かぶ食べ物の代表といえば、ケバブと甘いチャイ（お茶）とおっしゃる方もいるでしょう。ここ１０年ほどで実は、イタリアやフランス料理風に仕上げるトルコ料理が人気になっており、上手く融合するようになってきているのです。例えばナスの料理であれば、これまでは肉を詰めて揚げていただけのメニューに、別の食材を詰めて蒸すことで変化を加えたり、伝統的なトルコ料理にフレンチで使用するようなソースで味付けすることで、モダンなトルコ料理として人気を博しています。

　オリーブオイルをふんだんに使用した料理や、甘いお菓子や佐砂糖を大量に入れて飲むチャイを好むトルコ人の間でも糖尿病が問題となっています。それを危惧し健康志向になったという人も増えてきました。このように食材や調理方法などに気を使う人が増えてきていることを受け、イスタンブール市にある料理学校などでは、砂糖ではなく無添加のブドウシロップを使用したり、塩を少なめに調整し、好みに合わせて自分で塩を加える方法を伝授しているといいます。

　大都市にあるレストランでも、塩分を控えめに調理する店が増えてきています。外食や給食の調理場にも、栄養士が頻繁に関わっており、バランスの取れた食事をする考え方が、人びとの間に着々と根付きつつあります。いろいろなバラエティーに富んだ料理を組み合わせたフュージョン料理と同様に、ロカンタから広がる健康への取り組みは、徐々に家庭の食卓へも広がっているそうです。また、円安の影響から日本を訪れる若者層が急増しており、日本食にも注目が集まっています。日本の食材や食品は美味しいのみならず健康でもある、とトルコでも認知されてきており、将来は日本風トルコ料理がトルコの家庭に上る日が来るかもしれません。

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