オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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 賞味期限が切れているわけでもなく、なんの変哲もない商品であるにもかかわらず、生鮮食品が毎日、山のように廃棄されているという事実が、オランダのみならず世界中で問題になっています。


「もったいない!」をモットーとする活動を支援するために

「もったいない!」をモットーとする活動を支援するために

 「包装紙が破けている」「大きさ、形が不ぞろいである」「色が少々、褪せている」などの理由から、店頭販売するにはふさわしくないと判断され、廃棄処分される食材が1年間でなんと約5トンにものぼる、といわれるオランダ。こうした食材は、各種ボランティア協会経由で、ホームレス保護団体へ寄付されるのが一般的ですが、それでも余剰分が出てしまうそうです。そのため、結局は処理せざるを得ないのが現状です。


姿かたちが違うだけで放棄はもったいない!

姿かたちが違うだけで放棄はもったいない!

 しかし、この無駄を徹底的に省くため、廃棄予定の食材を集めて効果的に消費したり使ったりすることが静かなブームを呼んでいます。主導するのは、各種エコ関連企業による支援で活動している団体です。こうした団体は大手スーパーマーケットから貰い受けた食材を有効に活用するため、あらゆるアイデアを駆使し、無償で実行しています。


チャリティ団体による、放棄食品を使った料理会

チャリティ団体による、放棄食品を使った料理会

 たとえば、無駄を省くための運営コンセプトを、いかにして効果的にアピールするかが、こうした行動では重要になります。そこで定期的に開催されるのが、一般人を招いた「食事会」です。これは、各団体の活動内容に賛同する著名なシェフらを招き、放棄される食材を使って調理をしてもらい、ポップアップ・レストラン(臨時レストラン)や、一般イベント会場で来場客に提供するというものです。


料理学校でも積極的に、廃棄予定の食材を実習に使用している

料理学校でも積極的に、廃棄予定の食材を実習に使用している

 こうした臨時レストランには、定番メニューがなく、調理も即興的です。それは、どんな食材が入手できるか提供元のスーパー・マーケット次第ゆえ。しかし、予期せぬ食材のコンビネーションで、あっと驚く美味な料理を創作するのが、シェフらの腕のみせどころで、これがまた、集客には非常に効果的だそうです。

 消費者対象のアンケート集計によると、オランダ人1人につき、1年間で約50キロもの食材・飲料を無駄にしているという統計が出されました(オランダ中央統計局調べ・2020年度)。これは、 金額にすれば1年間で約5億4千万円の損失になります。もっとも多く廃棄されるのは乳製品、パン、野菜、果物、そして油脂で、これらは賞味期限が切れた、もしくは期限間近(期限数時間前)の段階である、といった理由から廃棄されてしまいます。

 無駄を省こう!省資源に徹しよう!をモットーに掲げた団体の活動主旨は、この省資源を徹底させることにあります。地球の未来は、人びとの未来でもあるのですから、一人ひとりが無駄を省けば、多くの人が潤う事も可能でしょう。このような形でアピールすることに成功した彼らの活動は、さらに、主要都市から全国区へと拡大する勢いです。


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