菜食主義者ならずとも、うなる美味しさ
2024.08.11 up
大豆素材の人口肉を売るベジタリアン・ブッチャー(肉屋)の店先
オランダで選挙が行なわれるたび、ほぼ常に話題に上るのが「動物のための党」です。ペットや家畜の理不尽な取り扱われ方に疑問を持った代議士たちにより結成された党で、動物愛護精神に則り、あくまでも動物の立場から、その権利を訴える党員らの真摯な態度は、国民からも圧倒的な支持を得ています。
考案者兼オーナー、ユルゲン・フェルヴード氏
この「動物のための党」の党員たちからお墨付きを頂戴したファーストフード店が、政治の中心地・デン・ハーグにあります。その名も「ベジタリッシュ・スナック・バー」といい、ベジタリアン専用店(植物性人口肉専門店)として、開店以前から多くのメディアで取り上げられ、多くの話題を各界に提供する存在でした。
見た目も味も、ハムそのもの
国内のどの街角にもある、ごく普通のファースト・フード店で提供されるメニューはというと、ソーセージ、ハンバーグの類、といったものばかりです。これらは、万人に愛される美味しさではあるものの、油脂や塩分含有量が多く、栄養バランスの点では完璧とはいえないかもしれません。しかし、大豆が原料のファーストフードなら、低脂肪でたんぱく質も摂取でき、何といっても動物の命を犠牲にする必要がありません。これなら大歓迎、とベジタリアンならずとも、動物愛護精神あふれる一般人からも注目を浴びている理由は、ここにあるように思います。
大豆ベースのベジタリアン・ソーセージ(フランクフルト)
この店を考案し、オーナーとして活躍しているのは、何代にもわたる野菜農家の出身者・ユルゲン・フェルヴード氏です。彼の言葉を借りると、厳格なベジタリアンを自称する人であっても、湯気の立つファーストフードを目の前にすれば、やはり食指が動き、信念も揺るぎがちになり、つい“掟破り”をして、ビーフ・バーガーをぱくつく、ということになりかねないのだそう。
大豆ミートで作られたエビの味も天下一品!
しかし、彼の店で製作している100%大豆ベースの人口肉なら、一般の肉製品とほぼ同じ味わいが堪能できるそうです。厳格なベジタリアンたちからも、太鼓判を押されているその味ですが、フェルヴード氏による最近のお薦めは、大豆ベースの人口肉で作られたエビのカクテル・サラダだとか。ソースには、卵抜きで作られたマヨネーズが使用されており、隠し味は豆乳で作られたチーズだそうです。ここまで徹底したこだわりが、人気の一因となっていることに間違いはありません。
ドイツやアメリカにはすでに、こういったベジタリアン専用のファーストフード店が多く存在しますが、オランダのフェルヴード氏も負けてはいません。店をまず国内でフランチャイズ化させ、将来的には、世界規模でビジネス展開したいと意気盛んです。ファーストフードとは思えないほど洗練され、手の込んだ彼独自のベジタリッシュ・メニューが、世界中に紹介される日も、そう遠くなさそうです。
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