ウシたちが村に帰る秋の伝統行事「牧下り」
2024.09.29 up
大きなカウベルと花飾りをつけたウシたち
9月初め頃まで30℃越えの気温だったスイス。しかしその後突然雪が降ったり、急激に気温が15℃ほどに下がったりと、急に秋の空気に。
そんな秋に行われるイベントの一つ、「牧(まき)下り」が在住州内で開催されていたので、ちょっと見学に行ってみました。「牧下り」は酪農が盛んな村や小さな町で行われることが多く、だいたい毎年9月半ば~10月半ば頃まで全国各地で行われることが多いです。
何世紀も前から続く古い伝統行事で、フランス語圏では 「デザルプ」、ドイツ語圏では「アルプアプツーク」と呼ばれています。
どのウシたちも行儀よく一列に並んで歩いていました
夏の間山に放牧されていたウシなどの家畜たちが、やんごとなく、無事帰って来たことを祝うと同時に、食べ物や地域の特産品などを販売するスタンドが出たり、アルペンホルンなど音楽の演奏があったりと、秋の収穫祭のような雰囲気もあります。
夏の期間は、約40万頭のウシ、20万頭のヒツジに加え、ヤギやアルパカたちが全国にある山の牧草地で過ごしているのだとか。
今回牧下りを見に行ったプラファイエン村では、1000頭以上のウシ、約60頭のアルパカたち、そして可愛い子ヤギたちが牧下りに参加したそう。
普段は静かな村ですが、この日は大勢の人々でにぎわっていました
そして見学に来た人は1万人。普段は静かな人口3600人の村が、この日は大勢の人と動物たちで大にぎわいでした。
ソーセージやポテトサラダ、スープ、アイスなど食べ物のスタンドも出ていたので、おいしそうな匂いに誘われ、ソーセージを買いました。大きくてジューシー!
それにしても、牧下りを見に来るたび、重くて巨大なカウベルをつけたウシは肩がこらないのかしら、と毎回心配してしまいます(苦笑)。頭を花で飾り、立派な刺繍付きのカウベルをつけたウシたちは、乳をよく出すなど“業績”が優秀だったウシなのだそう。
食べ物のスタンドで購入した、熱々でジューシーなソーセージ
しかし「“牧下り”は伝統という名のもとに行われている動物虐待」であり、「重いベルや花を頭部につけられ、騒々しい雰囲気の中で道路を歩かされる動物たちにとってストレスである。この馬鹿馬鹿しい伝統はやめるべきだ」と主張している動物愛護団体も存在します。
酪農業に従事する人たちは、当然ながらこの意見に激しく反対しており「馬鹿馬鹿しい発想だ、この動物愛護団体の非難は根拠がなく、知識の欠如から来ている」と一蹴しています。
ちなみに、この議論に対するスイスの一般の人々へのアンケートによれば、70%以上の人が牧下りの伝統に対して好印象を持っているという結果になりました。
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