総選挙か? オランダ連立政権が分裂
2012.04.23 up
ウィルダーの肩に手をかけるルッテ首相。前列中央はCDA党首 http://www.volkskrant.nl/vk/nl/2720/Nieuws/photoalbum/detail/3232857/341623/13/Drie-weken-Catshuis-in-beeld.dhtml
土曜日のトップニュースは政権分裂のニュースでした。過半数をしめる大政党が存在しないため、オランダはいつも連立政権です。
現在までは自由民主党(VVD)とキリスト教民主勢力(CDA)が少数連立内閣を組み、極右の自由党(PVV)が協力体制をとってきました。大変な右派政権で、ルッテ首相(Mark Rutte)は弱者切捨ての改革を強行に推し進めています。学生、高齢者、低所得者、難病を抱える人、外国人といった援助を必要とするグループはもちろんのこと、一般国民も緊縮財政のとばっちりを受け、生活は苦しくなるばかりです。
戦後、最悪ともいわれる不人気の政権に対して経済界や多くの国民の不満が鬱積し、このままいけばストが多発し暴動すら起こるのではと心配する向きもありました。
今までも数々の不協和音が聞こえてきた政権でしたが、ついに土曜日の午後、財政に関する自由党(PVV)と連立政権の話し合いが決裂しました。その結果、9月以降には総選挙がおこなわれる可能性が高まり、メディアも国民も祝賀ムードとなりました。
席を蹴ってでていく形になった自由党(PVV)の党首、ヒート・ウィルダーズ(Geert Wilders )氏は過激な発言で知られる人物です。
彼が特定エスニックグループを攻撃する姿を、ヒットラーになぞらえ、オランダ人の恥と言う人もいます。最近もオランダ国内に住む東欧グループ(ポーランド人)をターゲットにして、東欧諸国から連名の抗議文書をつきつけられました。数日前は、国賓のトルコ大統領の晩餐会への出席を、PVV党員がイスラム教徒の会にはでたくないと拒否しようとしたらしく、これまた大問題になりました。
また昨夏のノルウェーで起きた凄惨な乱射事件の犯人は、ヒート・ウィルダーズに影響を受けたと語っていたそうです。
ちなみに首相のルッテ氏(Mark Rutte)は、政治に全精力を傾けるには、恋愛をしている暇はないそうで、40代半ば未だ独身です。
いずれにしろ人間味あふれる頭脳明晰な人物が国家のトップであってほしいものです。
ヒート・ウィルダーズ,Volkskrant誌のサイトより http://www.volkskrant.nl/vk/nl/2720/Nieuws/photoalbum/detail/3244447/346107/3/Catshuisoverleg-mislukt.dhtml
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