夜8時の「2分間黙祷」と真夜中の聖火リレー
2012.05.11 up
自由と解放のシンボル、平和のトーチ
ヨーロッパでは国によって違いがあるようですが、オランダは戦没者慰霊の日 (Nationale dodenherdenking) を5月4日に定めています。この日オランダ各地で戦没者を追悼する慰霊祭が開催され、TVでも戦争に関わるドキュメンタリーや映画が放送されます。
王族や首相、大臣たちを迎えてのアムステルダム、ダム広場のセレモニーは毎年TV中継され、午後8時になると一斉に国民そろって2分間の追悼となります。日本と違って頭をたれたり、目をつむる人はほとんどおらず、皆おし黙って粛々と鎮魂を祈っています。
「平和の炎」の式典は多くのTV局や新聞社もやってくるイベントです
同日5月4日から5日にかけての深夜、私が住んでいる自治体(Wageningen)では名物の「平和の炎」の式典が行われます。この町は、戦争終結の調印式が行われた場所で、オランダ人にとっては自由と解放のシンボルとして有名です。その平和の灯火を全土に広げようということで、毎年、有志の人たちが私の町まで「平和の炎」をもらいうけに来るのです。
退役軍人さんたちが見守ります(ベレー帽の人たち)
ドイツ軍との平和調印がこのホテルでおこなわれました。歴史遺産です
私も今年初めて式典を見学しました。
フランスから運ばれてきた炎は、市長の手で、聖火台に着火されました。この「聖なる火」を、オランダ各地からやってきたランナーたちがトーチに移して、自分たちの町へ夜を徹して走って持ち帰ります。今年は73の町から2000人以上のランナーたちが参加し、深夜0;00をまわっているのに広場は元気いっぱいのランナーたちの熱気でムンムンでした。
このところオランダは冷え込みが厳しく、5月だというのに夜間は10度以下で寒いです。ランナーの一人がトーチを貰い受けるときに、「立小便をするとお咎めがありますけれど、どうしたらいいですか?」市長に聞いていました。市長は「うちの町からうーんと遠くでしてくれれば問題ないよ」と、おとぼけで答えていたりして、大きな式典ながら和やかムードです。
150キロ以上を走らなければならない自治体もチラホラ参加していましたけれど、笑顔たっぷり「イエーぃ」と威勢のいい掛け声とともに伴奏車のキャラバンと一緒に夜の闇に消えていきました。
火を町に持ち帰るため、154キロを夜を徹して走ります
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