シンガポール唯一の鉄道駅、それはマレーシア
2010.11.25 up
タンジョンパガー駅、通称”シンガポール駅”の表玄関です
シンガポールには、たった一つだけ、地上を走る鉄道の駅があります。ここから、マレーシア南端にあり、シンガポールに一番近いマレーシアの都市、ジョホールバルを経由し、クアラルンプールを通り、更にマレー半島を北上していく国際列車が出発します。なんとこの駅、マレーシア国鉄が管轄しています。つまり、シンガポールにありながらにして、建物も運営もすべてマレーシアによる駅なのです。
マレーシアの入国手続きを行うチェックポイントは、プラットホームにあります
次の停車駅はもうマレーシアなので、列車に乗る前に、入国審査を通らなければならず、当然パスポートの提示も求められます。
駅舎や券売所の雰囲気は、どこに行っても新品のようなシンガポールの趣とは、どことなく異なっています。黒ずんだ石造りの壁に広い天井、待合室にいる人々は、学生風の若者から、孫に見送られる老夫婦、そしてバックパッカーの旅行者など、様々です。
券売機はなし!シンガポールのMRT(地下鉄)では見られない、窓口で券を買う人の列
列車はディーゼルエンジン。間もなく発車で、エンジンをかけて待機していました。油のにおいがしました
シンガポールからジョホールバルまでの乗車時間は約1時間、乗車券はセカンドクラスで3ドル(約190円)、ファーストクラスで13ドル(約800円)です。でも最近では、バスでも自家用車でも自家用バイクでも簡単に行けるので、列車の利用者は減ってきているのだそうです。そう話してくれた売店のお兄さんも、ジョホールバルに在住で、毎日この駅までバイクで通っているとのこと。
オリエンタル急行のアジア版、イースタン&オリエンタル・エクスプレスは、ここからバンコクまで走る
1932年に完成して以来、激動のシンガポールを傍観してきたこの味わい深い歴史的な駅が、残念ながら来年7月には閉鎖されることになりました。シンガポール側の発着駅は、ジョホールバルの対岸にあり、現在もシンガポール出国のチェックポイントである、ウッドランズに移されます。
確かに、今の駅が存在する場所は、ビジネスエリアのど真ん中、しかも利用者は減る一方では、利用価値はどんどん下がっているのかもしれません。でも、この駅の貴重な情緒がなくなってしまうのは惜しいなあ、と思わざるをえません。
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