シンガポールから東北へ ミヤザキケンスケ・プロジェクト
2011.10.18 up
東日本大震災の被災地への復興支援活動として、日本のアーティスト、ミヤザキケンスケさんが、現在シンガポールでプロジェクトを行っています。
鮮やかな色づかいとダイナミックな作風が特徴のミヤザキさんは、壁画やテレビセットなどを手掛けるアーティスト。大震災発生後、何かできることをしたいと思い立ち、被災地で絵を描くプロジェクトをスタート。避難所になっていた多賀城市天真小学校、岩沼市ビッグアリーナ、気仙沼市K-WAVEにて、スケッチブックとクレヨンを使ったワークショップを行い、多くの子供たちやお年寄りの方たちと絵を描きました。また子供たちと一緒に町の特色をテーマにした巨大絵画を制作し、完成した絵を避難所に飾る活動を行いました。
そのミヤザキさんをシンガポールに招いたのは、東北への復興支援活動を行っているボランティア団体、「結(ゆい)プロジェクト」の主催者で、シンガポール在住の石川晋太郎さん。震災後、出身地の多賀城市の被災の様子を調べていた時に偶然、ミヤザキさんの復興支援活動のことを知り、是非このアーティストと一緒に、シンガポールで何かしたい、と思い立ったのだそう。
校舎入口に飾られた、東北の人々と描いた作品と短冊
ミヤザキさんのライブペインティング
「結プロジェクト」とミヤザキさんのコラボレーション第一弾として、早稲田渋谷シンガポール校の学園祭で、ワークショップと展示会が行われました。ミヤザキさんが被災地の避難所の人々と手掛けた大掛かりな絵画数点と、被災者から寄せられた震災の写真が展示され、またワークショップでは、彼が下地にデザインをこらした台紙に、来場者に各々の夢やメッセージ、そして絵を描いてもらいました。二日間で約400枚の作品が集まり、これは、今後シンガポールの各所で展示された後、ミヤザキさんが日本に持ち帰り、これまで被災地で描かれたものと併せて、大規模なオブジェとなる予定。かたわらでは、「シンガポールと日本を結ぶ」をテーマに、ミヤザキさんがライブペインティングを進め、大勢の人々が足を止めていました。
なかには、1時間近くも座って作品を仕上げてくれた方もいらっしゃいました。
私も、このワークショップにボランティア参加していたのですが、本当にたくさんの人々が、それぞれの思いを台紙に表現してくれていました。「どんなことを書けばいいのかな?」という方には、「被災者の方々への応援メッセージ、という形に限定せず、七夕の短冊を書くような気持ちで」というミヤザキさんの意図をお伝えしました。小さなお子さんや、日本語を勉強しているというシンガポールの学生たち、学園祭の持ち場からちょっと抜け出してきた高校生たち、シンガポールにいる様々な人たちの様々な思いに触れることができたなあ、と感じています。
ワークショップは入口で行われていたので、来訪者の方々が大勢足を留めてくださいました。
石川さんは、プロジェクトの活動意図についてこう話しています。「自身も含め、震災時に日本におらず、震災の様子や被害状況を間接的にしか知り得ていない日本人が、シンガポールにはたくさんいます。その多くの人たちは、何かしたいと思いながらも何をしていいのか分からない、というジレンマを抱えています。今回、ミヤザキさんの展示やワークショップが、彼らが何か行動を起こすきっかけになれればいい、と考えました。また、震災から時間が経過し、報道からの情報も少なくなり、特に日本から離れたシンガポールの人々、ここで暮らす日本人にとって、震災が過去のものとなりつつあるのでは、と危惧しています。震災を風化させないために、また、これからますます復興支援が必要とされていることを伝えるためにも、活動を続けて行きます」
幼稚園やアートクラスなどでのワークショップ、ギャラリーでの展示など、今後も予定されているコラボレーション活動も、またレポートしていきたいと思います。
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タグ:東日本大震災,復興支援,東北地方太平洋沖地震
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