何故リビアでは暴動が起こらない?
2011.02.09 up
お陰さまで、3週間の日本滞在を無事に終え、リビアに戻って参りました。
チュニジア、アルジェリア、エジプトが非常に大変な状況で、3国にはさまれたリビアは大丈夫なのか?
不安に思いながらの再渡航でしたが…
リビアは拍子抜けするくらい平和でした。
街に警察官の姿が多くなったものの、以前の市民生活がそのまま続いていました。
チュニジアのベンアリ大統領が23年、エジプトのムバラク大統領が29年の独裁政権だというなら、リビアのカダフィ大佐は今年41年目です。
世界でも有数の長期独裁政権です。
地理的にも時間的にも、周囲の影響を真っ先に受けてもおかしくないはずなのに、何故リビアでは民主化の暴動が起こらないのか?
現地のリビア人に訊いてみました。
大佐の肖像画入り腕時計の愛用者も多い
まあ、飽くまでも一個人の感想なのですが、なかなか興味深いです。
まず、民主化…というか、打倒カダフィ政権に関する動きに対して。
実はやはり、一部にはそういうことを画策する団体もあるようなのですが、まだ勢力が弱いうちに“処理”されてしまうのだとか。
そして一般の民衆としては、いまのところ政府に対して大きな不満はないようです。
大学卒業まで学費は無料だし、米・小麦・砂糖などの生活必需品は供給公社が安く提供してくれています。
ガソリンも、1リットル当たり約14円くらいと、欧米各国とは一ケタ違う安さ!
そして、高学歴でも就職口がないのが長らくリビア国民の悩みでしたが、数年前から月500リビアンディナール(以下LD)の生活保護費が受け取れることになったんだとか。
2008年の資料を見ると、大卒一般職公務員の初任給は170LDだというから、破格の生活保護費ですね。
しかも政府に住宅ローンを申請すると、無利子で貸し付けてくれる制度もあるらしいです。
これでは、不満の持ちようもないですね。
すべて潤沢なオイルマネーのお陰でありますが、上手く国民に再分配している結果でしょう。
そして、ここからは私の推測ですが…。
エジプトやチュニジアが欧米を重視し、自国民をないがしろにする政府だったのに対し、リビアの大佐は外国におもねらない姿勢を一貫して示しているのも大きいと思います。
ムスリムであり、アラブ民族であることの誇りを持たせてくれる大佐は、リビア国民の支持を一身に集めることに成功しています。
そしてその大佐は今年69歳になり、そろそろ息子たちへの権力移譲を準備しているようです。
リビア国民が何か行動を起こすか否かは、カダフィJr.達の手腕次第かもしれません。
遠からぬ未来に起こるであろう政権交代を、慎重に観察したいと思います。
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タグ:リビア
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