白熱のシンガポール総選挙 その2
2011.05.11 up
投票日当日もまだ掲示されていたPAPのポスター。労働党の写真が撮りたかったのだが、すべて撤去されていた。残念!
「シンガポール総選挙 その1」の続きの記事です。
そして、5月7日に行われた総選挙の結果は、87議席中81議席を獲得したPAPの圧勝であり、シンガポールの安定した政治力を国民は再確認することとなりました。でもその一方で、画期的な変化も到来しました。選挙活動中から、「最もホットな集団選挙区」と言われていた、Aljunied GRCで、労働党が勝利をおさめたのです。書記長を始めとする党幹部の実力派を揃え、選挙活動の論調にも注目されていました。結果、現職の2閣僚を擁立するPAPを押さえ、5議席を獲得するという快挙を成し遂げたのです。野党が集団選挙区で勝利をおさめたのは、歴史上初めてのことでした。
ちなみに、私の居住するのが、まさにこの Aljunied GRCで、選挙日が近づくにつれ、選挙活動は白熱していました。近所の住民たちからも、選挙の話題が聞こえてくることが多く、シンガポール政治の変化の鍵を握る一票を有している、という気合いが伝わってきました。
稲妻マークはPAPのトレードマーク
シンガポールでは、21歳以上の国民が選挙権を有しており、選挙は国民の「権利」ではなく、「義務」とされています。病気などの理由なく投票を行わなかった場合、選挙権者名簿から名前が削除され、次回の選挙から投票券が届かなくなります。再度名簿に登録してもらう場合には、前回選挙欠席の正当な理由を報告し、罰金(50シンガポールドル=約3500円)を払わなければなりません。その結果、投票率は93.06%という、驚くほどの高さになりました。
永住権保有者として暮らす私には、シンガポールでの投票権はありません。しかし、今回の選挙では、新しいシンガポールの政治の姿を、少し垣間見ることができ、また、建国46年というまだまだ若いシンガポールが内包する躍動感と、人々の政治参加意識の高さを実感しました。日本人として、学ぶところ、考えさせられるところがとても多い選挙でした。
参照記事:
Election Department Singapore
http://www.elections.gov.sg/
Straits Times紙記事
http://www.straitstimes.com/GeneralElection/News/Story/STIStory_662123.html
シンガポール通信(ブログ)
http://ameblo.jp/aoki1981/entry-10876376897.html
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タグ:総選挙
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1 - Comments
NAWAKURA Akioより:
2011 年 05 月 14 日 13:22:03
初めまして。都内の大学で東アジア政治を研究している者です。
今回の総選挙の結果には、「おお、野党がGRCで勝ったか」と、少なからず驚かされました。
私は以前韓国に住んでいたことがあり、そこで現地の統一地方選挙を観察する機会があったのですが、局外中立の立場で外国の選挙を見ていると、(政治学を専門にしている者としてではなく)日本の選挙での一有権者として、学ぶところが多々ありますね。
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