オランダ

オランダ:ハーレム

倉田 直子(くらた なおこ)

職業…ライター
居住都市…ハーレム(オランダ)

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 日本の「本屋大賞」をご存じでしょうか。「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本」をコンセプトに、2004年に設立された、NPO法人 本屋大賞実行委員会が運営する文学賞です。この文学賞の特徴は、「新刊を扱う書店(オンライン書店を含む)の書店員」の投票で決められること。一般の文学賞とは異なり著名な作家・文学者は選考に加わらず、一般読者に一番近い書店員が「おすすめしたい本」を取り上げているのです。

 その本屋大賞の17年度版「翻訳小説部門」1位にオランダの本が選ばれたのです!


 本の名は「ハリネズミの願い」。原書版がオランダで14年に発売され、日本では翻訳版が16年6月に発売されました。日本経済新聞の4月21日版によると、現在16刷まで版を重ね、販売部数は8万8千部になったとか。本屋大賞の発表は4月11日でまだ日も浅いので、この販売部数の大半は受賞前のものなのではないでしょうか。

 偶然ですが、実は筆者も数カ月前に日本に一時帰国した際に本屋でこの本を見かけて購入しました。かわいらしい装丁や店頭のPOPに引かれて手に取る、筆者のような購入者も多いのではないかと考えています。

 この本の著者トーン・テレヘン氏は、医師という仕事を定年まで勤め上げる傍ら、並行して作家・詩人として活躍していた方なのだそうです。恥ずかしながら筆者はこの「ハリネズミの願い」で初めて名前を知ったのですが、オランダでは非常に人気のある作家です。「この方は有名なの?」とオランダ人の友人に訊ねたら、「有名なんてもんじゃないわよ!」との答えが返ってきました。ちなみにその友人は、テレヘン氏の本よりも詩の方が好きだそうです。多才な方なのですね。

 本の価格は税別1300円ですが、オランダの通販サイトを確認したら新品のオランダ語版ペーパーバックが10ユーロでした。17年4月現在のレートだと約1200円なので、翻訳版とほぼ変わらないということになります。いい時代になりましたね!

 ちなみに物語の主人公はハリネズミ。自分のハリに誇りとコンプレックスを併せ持ち、他の動物との付き合い方に延々と悩み続けています。そんな様子が人間関係に悩む人々の共感を呼んでいます。筆者ももちろん読みましたが、ハリネズミのような考え方は誰でも一度は経験したことがあるのではないかと思いました。大人も楽しめるおとぎ話なので、ご興味あればぜひ手に取ってみてください。

本屋大賞
http://www.hontai.or.jp/

「日本経済新聞」4月21日付
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO15537710Q7A420C1BC8000/





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