ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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サンパウロ市住宅街の電柱に設置してある変圧器

サンパウロ市住宅街の電柱に設置してある変圧器

 ブラジルに住んで35年。この国には台風、地震・津波、火山噴火などの自然災害がない。ただ、日本とは季節が反対の1、2月の雨季に集中豪雨や落雷が激しい。特に、落雷は世界で最多発の国だ。当然、それらの影響で停電が頻繁に起こる。

 サンパウロ市の場合、夏場の夕方になると決まったように雷を伴った大雨が降る。雷は「落ちる」というが、ブラジルでは「降る」がふさわしい。積乱雲が発生すればたまに雹(ひょう)も降る。


 多量の雨か雷が変電所や電柱の変圧器を直撃するとドーンと音がして火花が散り、同時に停電する。台風ならば被害は長時間同時多発的に起こるが、ブラジルの落雷・大雨被害は数カ所の局地的なものだ。一般市民はろうそくをともして復旧を待つ。わが家ではろうそく10本と携帯の太陽電池蛍光灯2個を常備している。


 ブラジルはカトリック信者約80%の国。庶民は日常もろうそくをよく使う。停電が頻繁に起こるから市民も日ごろの対策は十分だ。回復は通常1、2時間後で翌日まで及ぶことはまずない。もちろん、病院や役所、マンション、高層オフィスビルには自家発電装置が整っている。


 停電は雨季が多いと冒頭に紹介した。しかし、冬場の乾季にも時々起こる。ブラジルの電力は80%近くが水力によるもの。冬はカラカラ天気が続き降雨が少ない。生活用水はもちろん、発電所の水不足も心配だ。節電のために故意に止めるのか、それとも古い設備の変電所で時々不具合が生じるのか、何の前触れもなく急に30分ほど停電することもある。


 ブラジル人は自然災害対策に関して無頓着な方だ。「そのうちに何とかなるさ」と、グラスを傾け電気がつくまで談笑しながら待つブラジル人。逆に、長引く復旧の遅れに心配顔で戸惑い、頑張る日本人。自然災害の多少が国民思考にも大きく影響しているようだ。


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