ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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ブラジルの新型コロナ事情について私見を語った原田さん

ブラジルの新型コロナ事情について私見を語った原田さん

 現在、サンパウロ日本国総領事館に領事兼医務官として赴任中の原田信治(のぶはる)さん(44)=熊本県出身=は、サンパウロ市滞在3年4カ月の感染症専門医だ。同総領事館での任務は、館員および家族の健康管理、当地医療事情の正確な情報収集と報告だ。最近のブラジルの新型コロナウイルス事情について聞いた。


 ■ブラジルでの感染拡大が尋常ではありませんが…。
 「数字だけを見るとすごい。ただ、統計数をひとくくりにするのには違和感を覚えます。日本の約23倍の国土に2億人以上の人口。おのずと感染者と死亡者は多く、北部諸州やサンパウロ州、リオ州に偏っている。貧困層でも目立ち、社会問題から政治的問題へ移ってきているようです」


 ■この国での感染・死亡者多数を予見していましたか?
 「国単位では予想していなかった。ただ、サンパウロ州は想像以上に健闘している。対応は素早く、感染前から約1000床の専用仮設病院を建設。学校休校や商業施設の営業規制も早くから手掛けていました。今、スーパーには生鮮商品も並ぶが、地域格差が激しい」


 ■米国に次ぐ感染・死亡者が多いのはなぜですか。
 「感染力が強いウイルスの場合、人口が多いと著しく死亡者も増える。重要なのは人口に対しての感染率です。当国には有保険者対象の私立病院と、無保険者の公立病院がありますが、後者は物、人、カネ不足から医療崩壊しているのが現状。特に、高齢者や慢性疾患者は重症化や死亡率が高い」


 ■ワクチン開発については…。
 「それ自体には悲観的。急速な開発は副作用が心配です。新薬開発には10~15年かかる。以上、述べたことはすべて私見です」と、原田さんは念を押した。
 最後に、生まれ育った郷里・熊本県へのメッセージを忘れなかった。「豪雨で被害に遭われた方々へ心からお見舞い申し上げます」と、言葉に力が入った。


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