ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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有名なスポーツアナウンサーのガルボン・ブエノ氏(中央、「TVグロボ」の画面から)

有名なスポーツアナウンサーのガルボン・ブエノ氏(中央、「TVグロボ」の画面から)

 2022年W杯カタール大会が幕を閉じた。日伯両国代表は準決勝へ進めず涙をのんだ。しかし、話題になったのが試合終了後の日本人サポーターによるスタンドのゴミ拾い。今大会でも若者たちの行動が注目を浴びた。清掃活動は今後もさらに盛り上げていきたい。

 この行為が初めて大きくテレビ画面に現れたのは2014年のブラジル大会だったと記憶している。現在もサッカー実況中継で活躍するブラジル人のガルボン・ブエノ氏(72)が取り上げた。日本代表の敗退決定後、観覧席のゴミ集めをする観客の姿に「見ろ!この日本人サポーターの行いを。これこそスポーツを愛する者の模範だ。ブラジル人も見習え!」とマイクを握りしめ、声を張り上げていた。


(「TVグロボ」の画面から)

(「TVグロボ」の画面から)

 一方、ブラジル人から見た清掃感覚は多少異なるようだ。「ブラジル地理統計院」の12月初めの統計によると、人口約2億人のこの国の10%は最貧層。「ゴミ収集は彼らの収入になる。仕事を奪うのは良くない。清掃人にやらせるべき」という思いが強い。また、国土は日本の約23倍もあり、多少のゴミ散乱など気にしないのだ。

 日本文化は移民によってブラジル社会の中に認識されていった。礼儀正しく、清潔感にあふれ、勤勉の印象が強い。しかし、移民で構成された国で住民が連帯感を持つのは難しいのか、「人は人、自分は自分」の個人主義が徹底している。自分勝手との思いではなく、一人ひとりの考えや思いを尊重するという意味だ。


(「TVグロボ」の画面から)

(「TVグロボ」の画面から)

 筆者はサンパウロ市に40年ほど住む。先月、3年ぶりの日本訪問で感心したのは塵一つ散っていない東京都内の街路。日本滞在中、早朝散歩のたびに身をもって感じた。

 サッカーは人類にとって最も人気があるスポーツの一つだ。人類すべてがこの公共精神を持つ祭典になってほしい。それを願いながら、皆さん良いお年を…。




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