ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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今年もブラジル日本移民をしのび思いを馳せる6月がやってきた。記念日は最初の移民船「笠戸丸」がサントス港に着いた6月18日。この日の前後には日系人が多く住むブラジル各地域で慰霊の行事が続く。

 過去2年間、慰霊祭や法要などはコロナ禍のため大半が中止かオンライン開催だった。ブラジル北海道協会でも取りやめになったが、筆者が関係するブラジル熊本県文化交流協会では6月12日に会員とその家族が同協会会館に集まった。


 先亡者追悼法要は10時30分から始まり、ブラジル別院南米本願寺の塚本智光(ちこう)輪番の読経が続く中、一人ひとりが亡き人の御霊の前で手を合わせた。中には非日系の参拝者も目に付いた。この日、出席したのは約60人。同協会の清原健児会長(二世)は、「2年ぶりの開催になったが、会員の皆さんと久しぶりに直接会えた。お亡くなりになった方々へ手を合わせられてうれしい」と語る。

 会場にいた長瀬令子さん(80)は、「かつて会長を務めた主人も昨年7月7日に亡くなり、今日は一周忌と重なっての参加でした。感慨無量です」と、力強い声だった。

 同協会前会長の田呂丸哲次さん(二世、77)は、「久しぶりに出席したら若い方や非日系の女性もいて感動しました。ブラジル社会へも広がっている証ですばらしい。こんな行事は代々続けなくてはなりませんね」と話す。


 毎年、記念日に各県人会連合体の「ブラジル日本都道府県人会連合会」主催で、仏教各派合同の慰霊祭がサンパウロ市内のイビラプエラ公園内の慰霊碑前で行われていたが、今年は雨天のため中止になった。

日本移民の話題は日本側で徐々に薄れていこう。しかし、114年にわたる日本移民の歴史は日伯相互交流の根本になっていると言ってよい。両国間の親善交流で絶対忘れてならないことだ。今後も色あせることなく光り輝き、脈々と生き続いて行くと確信する。




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